曾祖父から受け継いだ
古民家を
モダンで快適な
住まいにリフォーム

写真=

兵庫県加古川市M様邸

規 模:木造2階建て
設計・施工:前川建設

築100年を超えた建物は傷みが目立ち
リフォームするのをためらったほど。
古民家の面影を残しつつ建物性能を上げ、
現代生活に合わせて間取りを改修することで
今の暮らしに合った住まいになりました。

古い梁や建具を内装に生かし
古民家の趣を残す住まいへ

曾祖父が建築した築100年超の建物は、老朽化がかなり進んでいました。この古民家を受け継ぎ、リフォームすることを決意したものの、あまりの古さに「本当に人が住める家になるのだろうか」と半信半疑の面もありました。

リフォームの依頼先に迷っていた時は、古民家改修の専門知識を持つ建築家への依頼も検討していましたが、長くつき合っていけるのがいちばんだと考え、地元の工務店「前川建設」へ依頼することに。コストパフォーマンスが高く、アフターケアも充実しているので、安心してリフォームを進めることができました。以前の住まいで使っていた家具をリフォーム後もそのまま使用すると決めていたので、家具に合わせたプランや内装を提案してもらえたのもうれしかったです。単に新しく、便利にするのではなく、古い柱や梁を内装に生かし、建具の一部を再利用したことで、古民家の面影を残すことができました。

断熱性を上げて室内環境を向上
1年を通じて快適に

リフォームでは、安心して快適に暮らせる機能を備えた住まいを目指しました。妻が寒さに弱いので、特に暮らしの中心となるLDKは寒さ対策を徹底。天井を外し、吹き抜けにすることで開放感を出しましたが、吹き抜け全体を断熱材でくるみ、さらに天井、壁、床にも高性能な断熱材を充てんしています。さらに、庭に面した窓には高断熱の樹脂アルミサッシを設置したことで、気密性・断熱性が上がり、1年を通じて快適な室内環境を整えました。

また、古い住まいは耐震性が低いのが難点。安心して住み続けるために、現在の耐震基準を確保できる補修工事も行いました。構造計算を行い、石場建ての基礎をコンクリートで補強。また体力壁や柱も増設して、耐震等級1以上の性能を実現しました。古民家の趣を残しつつ、現代生活に十分に合った建物となっています。

和のモチーフの建具を生かし
日本建築の美しさを引き出す

この家が建てられた当初は、和室が並ぶ「田の字」型の間取りでしたが、一度改修が入り、私たちが受け継いだ時は和室2間が食堂や居間に改築されていました。

今回の改修では、この食堂と居間、さらに土間玄関をひと続きにしたLDKを新たにつくり、吹き抜けのある開放的な空間に改修。梁を洗いにかけ、現しにしています。かつての通気口はハイサイドライトに仕立て、LDKの採光も確保しました。

耐力壁をプラスしたリビングの窓まわりには、木製のガラリと高断熱窓、障子を重ねて設置。ガラリと障子を引き込むと外へと視線が広がり、開放感も楽しめます。キッチンで調理をする時も外の景色が目に入り、閉塞感を解消。ガラリや障子を閉めると、空間に日本的な美しさが引き出されます。

リビングの一角には、堀りごたつ式のワークスペースを配置。また念願の暖炉も設置しています。市街地にあるため環境負荷の少ないバイオエタノール暖炉を採用。マントルピースは玄関土間と同じ大谷石で造作しました。

毎日の家事ストレスを軽減する
最新設備とスムーズな家事動線

キッチンは、対面式にあこがれていた妻がアイランド型の「リシェルSI」(LIXIL)をセレクト。家全体の色合いに合わせて、「グレースグレー」を選びました。家電が納まる背面収納には扉をつけ、雑多な生活感を抑えています。天井は幅狭のスギ板で仕上げたことで、黒を基調とした空間のアクセントになりました。

キッチン近くにはパントリーやランドリースペース、水まわりを配置。毎日の家事をコンパクトな動線で進めることができるので、ストレスが軽減されました。ランドリースペースは室内干しもできるので、洗濯まわりの家事を1カ所にまとめられます。

新たにウッドデッキを設けた庭は、第2のリビングとして使えるスペースに。LDK とデッキの床レベルを合わせたことで、出入りがさらに気軽になりました。LDKの窓に入れたガラリは、瓦屋根の外観とも好相性。外からの視線を遮り、プライバシーを確保しています。

古民家の佇まいを残しつつ
住まい全体をリフレッシュ

外観は古民家の佇まいは残しつつ、壁全体を黒から白に塗り変えてイメージを一新。屋根瓦の交換や壁板の洗浄も実施して、全体をリフレッシュさせました。腰板上を黒の帯状に塗装して、聚楽壁を再現しています。

外から玄関へと向かうアプローチには、既存の飛び石に伊勢砂利を敷き詰め、和の印象を強調。リビング近くに新設した玄関は、土間を大谷石で仕上げ、上がり框にスギ材を使用しました。川の氾濫に備えて床高に設計し、その下を靴収納に活用しています。

事務所兼と倉庫として使われていた一角は、茶室のあるギャラリーに改修。屋根瓦が落ち、雨漏りもしていましたが、必要な箇所を修繕しながらアルミサッシを入れ、居住性も高めました。老朽化していた古民家に使いやすい居住部とワークスペース、ギャラリーが備わり、現代的な住まいへと生まれ変わっています。

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