鉄骨住宅を
フルリフォーム
構造計算なしで
理想の住まいに

滋賀県守山市Y様邸

規 模:鉄骨造2階建て
設 計:416アーキテクツ
施 工:ネヌケン

リフォーム前提で購入した中古住宅は
「型式適合認定」を受けた鉄骨住宅。
構造計算不要のメリットを生かしつつ
家族の要望や理想の空間を実現するために
アイディア満載のプランをつくりました。

「型式適合認定」住宅の課題を
クリアしながらリフォームする

家づくり当初は希望していたエリアで土地を購入し、新築で家を建てる予定でしたが、予算が合わず断念。代わって見つけたのが、ハウスメーカーが建てた築20年の鉄骨住宅です。

フルリフォーム前提で購入したこの物件は、ハウスメーカーから「型式適合認定」を受けていました。この「型式適合認定」住宅とは、メーカーが定める建築基準に適合している住宅のこと。建築確認や検査を簡略化できるというメリットがありますが、「主要構造部の過半の改修」を行うと、再度の建築確認が必要となります。建築確認申請を行うと構造審査も必要となるため、コスト高になるリスクあり。そのため、できるだけ構造計算のやり直しは避けながらのプランニングが課題となりました。

私自身が大学で建築を学んでいたため、設計士さんと共に知恵を絞りながらの家づくりがスタートしました。

「主要構造部の過半の改修」を
しないリフォームとは

新しい家としてイメージしていたのは、吹抜けで明るいLDKや、スキップフロアのある住まい。また家族からは、「急勾配の階段をゆるやかにしたい」「部屋数を減らす」といったリクエストが出ていました。

「主要構造部の過半の改修」をせずに、これらの要望を実現するため、まずは既存の鉄骨をそのまま生かし、梁や筋交いの一部を現しにすることに。現しの鉄骨はグレーに塗装して、デザインとして生かしました。ダイニングの上部は梁を残したまま吹き抜けを設け、イメージしていた開放的な空間が実現しました。

既存の階段は急な勾配がネック。ただこの階段を解体してしまうと、「主要構造部の過半の改修」になってしまいます。そこで、既存の階段は撤去せず、勾配と踏面をゆるやかにした新しい階段を、その上からかぶせました。さらに、新たに板張りの手すりを設置。この手すりで、元の階段を隠しています。

既存の鉄骨をそのまま残し
あえて現しにするデザイン

新たに生まれた階段とLDKの間には、スキップフロアがあります。このスキップフロアにつなげたことで、「急勾配の階段をゆるやかにする」と「構造計算を不要とする改修」の2つの課題をクリアしました。スキップフロアは子供たちがステージに見立てて発表会の練習をしたり、家族写真を撮ったりと、楽しい集いの場所となっています。

壁を撤去したことで現しになった鉄骨の筋交いは、梁と同じくグレーにペイントしました。マグネットのフックをつけられるので、買い物バッグやランドセルをここに収納。また、玄関から奥へのさりげない目隠しにもなっています。吹き抜けからの光と窓からの光が回り、家全体が明るい印象になりました。

吹き抜けの鉄骨には、吊り遊具や照明レールを設置。上にルーバー床を固定して、2階の廊下スペースにしています。

子供たちが家の中で楽しく
過ごすための工夫を満載

2人の子供がいる慌ただしい毎日をおくっているので、家事負担の軽減も家づくりの課題のひとつでした。

ペニンシュラ型のキッチンは、壁面に収納棚を設置。キッチンカウンターは立ち上がりのないフラットなデザインで、LDKとも違和感なくなじんでいます。シンク前に立つとLDを見渡せることができるので、作業中の孤立感も解消されました。キッチンからダイニング、階段、踊り場へと行き止まりなく回れる回遊動線で、家事をする時の無駄な動きが減りました。

キッチンの奥には、和室や水まわりと並んでファミリークロゼットを配置。子供の衣類や夫婦のオンシーズンの衣類をまとめてしまえるので便利です。

1階と2階を吹き抜けがつないでいるので、子供たちが2階で遊んでいる時も様子が伝わり、安心感があります。吹抜けまわりに設置した手すりは、布団やシーツなど大きな洗濯物を干す時にも活躍しています。

建築家&工務店とタッグを
組んだフルリフォーム

プランニングを始めた時は既にコロナ禍に入っていたので、子供たちが家の中で遊ぶことも想定していました。家事に便利な回遊動線は子供たちにとっても楽しいプラン。複数あるLDKへのルートを、楽しみながら行き来しています。

階段近くには、「家族の図書館」をイメージした本棚も設置しました。スキップフロアで本を読んだり、現しの梁か吊り下げた遊具で遊んだりと、室内でも楽しく過ごすアイディアがいっぱいで、子供たちにも好評です。

大学時代に建築を学んだので、設計士や工務店探しは同級生などの知人に相談していました。設計は「416アーキテクツ」の島綾子さんに依頼。工務店は建築家との家づくりに慣れている「ネヌケン」です。「型式認定住宅」のリフォームにも積極的に取り組んでもらったことで、確認申請なしでもここまで変えることができました。

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