工務店がつくるいい家
眺望ともてなしを楽しむ 急傾斜地の家
【O様邸(First House)】長野県塩尻市
木質感あふれる開放的なO様邸では、急な傾斜地を造成せずに建てることで、その費用を建物に回しました。頻繁な来客に手料理をふるまえるオープンなキッチンや、薪ストーブのある土間が、思い描いたライフスタイルをバックアップします。
会話を楽しめるアイランドキッチンが主役
お施主様との出会いはイベントでのこと。数社に相談しても自分たちの理想を叶えてくれそうな会社が見つからず迷走していたときでした。HALM建築設計事務所は設計だけでなく、CM(コンストラクション・マネジメント)方式で工事も行っています。Oさんは、その合理的なスタイルを気に入って依頼してくださったそうです。
CM方式とは、工務店を通さず施主が直接各施工者と契約を結ぶやり方。その中でもHALM建築設計事務所では「アットリスクCM方式」を採用しており、設計事務所が検査を厳しく行い何かあったときはリスクを負うので、施主には負担がありません。施工者が施主と直接契約することで顔の見える関係ができ、施工者の緊張感やモチベーションUPにもつながります。
Oさんの土地は、北側に塩尻の市街地を見下ろし、南に緑の山を背負うかなり急な傾斜地です。農機具小屋があったわずかな平地に家を建てたいというご希望でしたが、より良い眺望を求めご希望より上の場所に建てることを提案しました。コストが膨大な造成は行わず、基礎を大きくすることで対応し、費用をできるだけ建物へ回すことに。その方が周辺の畑地との馴染みもよく、行き来のしやすさもあります。傾斜がきつく材料の搬入には苦労しましたが、職人さんが業種を超えて協力しチームワークが高まりました。
夫妻はお料理好きで、家には親戚や友達が集まって食事をしたり泊まったりすることも多いのだとか。眺めの良い窓と吹き抜けを持つダイニングを中心にした間取りは、もてなしのしやすさも考慮されています。キッチンは、「料理をしながらお客様とおしゃべりしたい」という奥様のご要望からオープンなアイランドキッチンに。LIXILショールームで一目惚れしたリシェルSIは作業スペースが広く、パン生地をこねてホームメイドを楽しみ、お友達を招いて料理を教えあうなど、存分に活用されているようです。キッチンのそばには、お子様のための勉強コーナーが。付かず離れずのちょうどいい距離感で、料理中にも様子を見守れて安心です。
使いやすい動線へのこだわりは、キッチン・パントリー・土間・エントランスを最短で行き来できる動線で実現。土間には念願だった調理もできる薪ストーブを設置しました。外に出られる掃き出し窓をつけたので、薪の搬入や灰の始末もラクに行えます。
人の出入りが多い中でも落ち着いて過ごせるように、2階にもセカンドリビングを設けました。吹き抜けを介して1階とも緩やかにつながり、はしごで直接行き来したり、渡り廊下で2階を回遊したり、お子様ものびのび走り回れます。内装には高価な建材を用いず、床は地元信州産アカマツの間伐材を用いたフローリングに。天井に使用した安価な針葉樹合板は、性能表示のスタンプをサンドペーパーで磨いて消し、木の魅力あふれる空間をつくりました。施主様から届いた翌年の年賀状には「使うほどに良さがわかる家にして下さってありがとう」と嬉しいコメントが。楽しみながら暮らして欲しいという願いが、かたちになった住まいです。
ギャラリー
■ダイニング
南側に見える山の緑を切り取る掃き出し窓と、大胆な吹き抜けが開放的。信州産アカマツの床は間伐材を利用した製品で、コストを圧縮できました。
■勉強コーナー
奥様がお料理中もお子さんがそばに過ごせるようにつくった、程よい距離感の勉強コーナー。窓からの景色も良く明るい場所です。
■和室
和室は泊まり客のための客間や、大勢人が集まったときのプラスの食事スペースになり、小さい子どもを遊ばせたり寝かせたりするのにも便利。
■土間
玄関から土間、奥にパントリー、キッチンへつながる動線。料理好きの夫妻は、調理もできる薪ストーブの導入を最初から決めていたそう。
■吹き抜け
吹き抜けにはすのこの渡り廊下をつくり、子供室とリビングを回遊できるようにしました。
■子供室
子供室には収納を兼ねたロフトベッドを大工さんが製作。娘さんがたくさんお持ちのお姫様の衣装をかけるパイプハンガーを取り付けました。