工務店がつくるいい家
京都の町家を リノベーション 新たな出会いと ものづくりの場に
【ウェアハウスプロジェクト】京都府京都市
海外出身のクリエイターが、京都西陣の町家をアトリエ付き住宅にリノベーション。築80年のボロボロの建物に、鉄骨階段やモルタルなどのソリッドな素材を挿入。すると、古材や古壁が、時を経たものだけがもつ輝きを放ち始めました。
インダストリアルな内装で古材の魅力も引き出す
築80年にもなる京都の町家をリノベーションし、アトリエ付き住宅に。お施主さまはオーストラリア出身のクリエイターで、日本の着物や帯、アンティークの生地を再利用して、衣服やバッグをデザイン・製作されています。以前のお客さまから紹介を受け、繊維の町である西陣での物件探しから相談をいただいたそうです。
かつては紡績の工場として使われていたらしいこの町家は、空き家の状態で長年放置されボロボロの状態だったといいます。純粋な京町家としての意匠は保たれていなかったため、提案は現状を生かす方向に。お施主さまから求められたのは、元工場のインダストリアルな雰囲気と、古い柱梁や煤けた土壁などを魅力的に見せるデザイン。日本語でのコミュニケーションが難しかったため、豊富な写真やパースを用いてイメージの共有をはかりました。
新たな間取りは、1階をアトリエスペース、2階を住まいにという構成。お施主さまはできるだけ間仕切りのない空間を希望されていました。そこで、アトリエは柔軟な使い方ができるよう不要な柱や壁を取り除き、フリーな大空間に。玄関を吹き抜けにして通風や採光を確保し、居住性を高めています。鉄骨階段や海外のバスルームのような浴室、無垢材で製作されたキッチンなどの新しいものが、古材や古壁と同居する光景には新鮮さがあります。見た目だけでなく性能も向上させるため新たに耐力壁を設け、必要な柱や梁で耐震性を高めました。また、床下にはコンクリートを打設し、スタイロフォームで床を断熱。壁・天井にも発泡ウレタンを吹付け、LIXILのサッシを多用することで断熱性を高めました。
当初、ゲストハウスにすることを目指していましたが近隣との折り合いがつかず、目的を変更するハプニングがあったとか。近隣との良好な関係性を重視しながら、リノベーションを完遂できたことは幸いでした。閉鎖的で暗くなりがちだった古い町家は、明るく開放的なモダン空間に生まれ変わりました。肉厚なパイン材の床、城壁漆喰の壁などの自然素材、鉄の階段やサッシは、古材や古壁とも調和し引き立て合います。過去と現在が融合する創造的な空間は、新たな文化や出会いを育む場になっていくに違いありません。
ギャラリー
■外観
お施主さまが愛する藍染めから着想し、ブルーの磁器質タイルをセレクト。スチールサッシ、木製玄関ドアと組み合わせモダンなデザインに。
■浴室
海外のバスルームをイメージして床置きのバスタブを採用。モルタルとタイルの空間に古材の洗面カウンターを添え、新旧を融合。
■トイレ
2階のトイレでは、かまどの煤で黒くなった古い壁や柱梁を残し、白い漆喰との対比的効果を出しました。
■キッチン
無垢のナラ材で製作された温もりあるキッチンは、岡山県のkitobito(キトビト)にオーダーしたもの。内窓から吹き抜け越しに外光を取り入れます。
■LDK
耐震性を補うため、鉄の丸柱や梁をプラス。タイル張りの暖炉スペースにはガス暖房機を組み込みました。
■アトリエ
アトリエの壁には木毛セメント板を張り、インダストリアルなイメージに。隣家との堺壁は二重にして、防音にも配慮しています。