工法を決めることは、
家の骨格を決めること

2016年6月8日

抑えたいポイント

  • 建物の骨組みを構造と呼び、材質によって分類される
  • 工法は建てる方法を指し、大きくは軸組と壁式に分かれる
  • 主な工法は10種類あり、その特徴は大きく異なる

構造と工法は
切っても切れない関係

建物の骨組み(躯体)のことを「構造」といいます。主に躯体部分に使われる材質によって分類され、また、建築法規や公庫融資などでは構造を木造、準耐火構造、耐火構造に区分しています。

「工法」とは、建てる方法のことです。大きくは軸組工法と壁式工法に分かれており、それに材質別の構造が加わって細分化されます。たとえば材質が同じ木(質)造であっても、木造軸組工法もあれば、壁式工法のツーバイフォー工法や木質パネル工法もあります。

「軸組工法」は、柱や梁などの軸材を組んで骨組みをつくり、それによって建物を支える工法です。開口部が広く取れるため、明るく風通しのよい住まいをつくることができます。一方、「壁式工法」は壁によって建物を支える工法で、気密性や施工性に優れています。

おさえておきたい
10種類の主な工法!

希望する外観や間取りがあったとしても、適切な工法でなければ、実現が難しい場合もあります。まずは主な工法を知ることで、あなたの家づくりのプランニングを見直してみませんか。

①木造軸組工法

日本の気候・風土のなかで育まれてきた伝統的な工法で、在来工法とも呼ばれています。木材で土台・柱・梁などの軸材を組んで骨組みを構成。さまざまな立地や敷地条件に対応できるため設計の自由度が高く、数寄屋造りの純和風はもちろん、和洋折衷や洋風など幅広い様式に適応できます。同時に、和室にマッチする真壁づくりと、洋室向きの大壁づくりとに使い分けられるのも特徴です。

また柱や梁などで支える工法であるため、開口部が大きくとれ、増改築にも対応しやすいという利点もあります。

②木造軸組+パネル工法

柱や梁などの軸材を組んで骨組みを構成する軸組工法に、耐力壁としてのパネルを組み合わせてつくる建て方です。軸材と軸材の間に耐力壁の役割を果たすパネルを張り付けるため、強度は一段と増し、地震や台風などによる外圧に対して、より頑丈な構造体をつくりあげることができるのが大きな特徴です。

軸組工法の良さの一つである高い設計の自由度を生かしながら、パネルによる壁式工法 の長所でもある高い気密性の住まいも実現できます。この工法に使われるパネルも高性 能化・多機能化が進んできており、それが住まい全体の性能アップへとつながっています。

③2×4(ツーバイフォー)工法

北米で発達・普及した工法。断面寸法が2インチ×4インチの基本材で枠組をつくり、それに構造用合板を張ってパネル化。このパネルを耐力壁として用いることから枠組壁工法ともいいます。洋風様式に適しており、部屋構成も洋室中心です。

また、断面寸法が2インチ×6インチの枠材を使うツーバイシックス工法や、2×4工法でユニット化し現場で組み立てるプレハブ方式のツーバイフォーユニット工法もあります。

④木質パネル工法

ツーバイフォー工法と同じように耐力壁によって建物を支える工法です。ツーバイフォー工法では2×4インチの枠材が耐力壁を構成する基本材になっていますが、この工法では複層・強化された木質パネルそのものが耐力壁を構成。木質系プレハブ住宅の他に、一部の輸入住宅に採用されています。

⑤鉄骨軸組+ALCパネル工法

鉄骨で軸組を構成し、それに軽量気泡コンクリート(ALC)パネルを組み合わせた工法です。軽量鉄骨を使うケースが多く、重量鉄骨も加えて軸組を構成するケースもあります。都市型プレハブ住宅に採用されています。

⑥軽量鉄骨+不燃パネル工法

軽量鉄骨で軸組を構成し、それにセメント板などの不燃パネルを組み合わせた工法です。鉄骨系プレハブ住宅の代表的な工法です。

⑦軽量鉄骨ユニット工法

部屋またはスペースの一部をユニット(箱)単位で工場で生産し、これを現場で組み立てる工法です。軽量鉄骨と組み合わせるパネルに、不燃パネルを使ったタイプと、ALC系パネルを使ったタイプとがあります。

⑧重量鉄骨ラーメン工法

柱、梁、床スラブおよび耐力壁を一体につくって建物を構成する工法です。材と材が交わる部分が剛接合によって固定されているのが特徴。中・高層の建物に多く見られ、住宅ではビル形式の併用住宅や集合住宅に採用されています。

⑨コンクリート一体壁式工法

構造体を構成するところに鉄筋を配し、そのまわりに合板で型枠をつくり、その中にコンクリートを流し込んで一体化する壁式工法です。現場でコンクリート打ちをすることからコンクリート現場打ち工法ともいわれています。

⑩PCパネル工法

工場でつくられたコンクリートパネルを現場で接合して構造体をつくる壁式工法です。コンクリート系プレハブ住宅に採用されています。

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