2016年6月8日
「高性能住宅」とは気密性、断熱性、耐震性、耐久性などに優れた住宅のこと。従来の住宅と比較して、快適に暮らすためのさまざまなメリットがあります。どのようなメリットがあるのか、ご紹介しましょう。
トイレや廊下、脱衣室など冷暖房をしていない場所は、夏は暑く、冬は寒い。それが当たり前だとお考えではないでしょうか。「少し我慢をすればそれで済むからいい」かと言うと、実は、そうではないのです。
例えば、冬。暖房をつけている居間と、つけていないトイレなどでは極端な温度差があります。暖かい居間から出て寒いトイレに行く時などに、心臓に急激な負担がかかり、脳溢血や心筋梗塞などの循環器系疾患を誘発することがあり、とても危険なのです。この急激な温度差による身体への悪影響をヒートショックといいます。特にお年寄りにとって、大きな負担です。
高性能住宅は、家全体の気密性・断熱性を高めることで、外気の暑さ寒さの影響を最小限にとどめられます。部屋間の温度差を抑えることで快適に過ごせるだけでなく、健康に暮らすことができるのです。
高性能住宅は、家全体の気密性・断熱性を高めているため、室内の熱を逃がしにくく、外気温の影響も受けにくくなっています。そのため、非常に効率の良い冷暖房で家中の快適温度を保つことができ、省エネにつながります。
地震大国である日本では、地震に強いことは住まいに欠かせない要素。高性能住宅は耐震・耐久性能に優れた構造で、地震や台風に強く安心です。また、壁体内結露が発生しにくいため、大切な住まいが長持ちします。
計画的に換気をすることで、いつも新鮮な空気の中で健康に暮らせるのも、高性能住宅の特徴です。例えば、気になるホルムアルデヒド対策。計画換気をしていれば、室内の汚れも外に排出し、健康的な環境をつくることができます。また、防露性能に優れ、冬の朝でも不快な結露の発生を抑えられます。
高性能住宅を見極めるには、住まいの性能値を確認してみましょう。住宅には、さまざまな性能をあらわす性能値があり、優れた性能値は住まいの快適性を示していると言えるのです。ここでは、代表的な項目をあげて、簡単に説明をしましょう。
項目 | 単位 | 説明 | ||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
UA(ユーエー)値(外皮平均熱貫流率) | W/(㎡・K) | UA値とは、住まいの内部から室外に逃げる熱(換気による熱損失を除く)が、外皮(屋根・外壁・窓等)面積当り、どれだけあるかを表した数値。数字が小さいほど断熱性に優れています。 | ||||||||||
ηA(イータエー)値(冷房期の平均日射熱取得率) | ηA値とは、夏期において住まいの外皮(屋根・外壁・窓等)から、室内に侵入する日射熱量が外皮等面積当り、どれだけあるかを表した数値。数値が小さいほど冷房効率が優れています。 | |||||||||||
一次エネルギー消費量 | GJ/年 | 住まいで用いる冷暖房をはじめ、換気、給湯、照明などの設備機器のエネルギーを熱量換算した合計の数値。太陽光発電などによる省エネ効果は引くことができます。数字が小さいほど省エネ性に優れています。 | ||||||||||
Q(キュー)値(熱損失係数) | W/(㎡・K) | Q値とは、住まいの内部から室外に逃げる熱が床面積当りどれだけあるかを表した数値。数字が小さいほど断熱性に優れています。 | ||||||||||
C(シー)値(相当隙間面積) | ㎠/㎡ | C値とは、床面積1㎡当りの住まいの隙間を表した数値。数値が小さいほど気密性に優れています。 | ||||||||||
λ(ラムダ)値(熱伝導率) | W/(m・K) | λ値とは、m当りの物体が熱を伝える度合いを表した数値。数字が小さいほど熱が伝わりにくく優れています。 | ||||||||||
K(ケー)値(熱貫流率) | W/(㎡・K) | K値とは、各部位の1㎡当りの断熱性能をあらわした数値。数値が小さいほど熱を伝えにくく優れています。 | ||||||||||
上下温度差 | ℃ | 定点での温度設定。 | ||||||||||
防露性能 | 熱伝導率が少ないほど、結露が発生しにくくなります。 | |||||||||||
R'(アール)値(透湿抵抗) | ㎡・h・mmHg/g | 発砲ポリウレタンの湿気の通しにくさの数値。数字が大きいほど壁内結露の発生がしにくく優れています。 | ||||||||||
ホルムアルデヒド | JIS、JASで規定されたホルムアルデヒドの拡散量に応じて等級がある。数字が小さいほど有害物質が少ない。
|
|||||||||||
換気回数 | 建物の中の空気の入れ替わる回数 |