家の健康は、
住む人の健康でもある

2016年6月8日

抑えたいポイント

  • 必要な換気量は12回/1日。窓の位置に工夫を
  • 夏の快適な睡眠環境は昼間の日射の遮断と断熱性能による
  • 採光計画は部屋の使い方を意識
  • ストレスを感じずに聞ける音の強さは40〜50dB(デシベル)

健康に暮らすためには、
家づくりから考える

私たちの健康は、住まいと切り離して考えることはできません。「その家自体が健康でないと、住まう私たちも健康ではいられない」と言っても過言ではないのです。健康的に暮らすためには、どうしたらいいのか?身近なテーマを取り上げて、家と健康の関係を考えてみましょう。

人と住まいの健康には
換気が不可欠

国土交通省の定める「次世代省エネルギー基準」適合住宅では、気密・断熱性能だけではなく、換気に関する基準も設けられています。クリアすべき条件は、空気環境を清潔に保つため、0.5回/時、つまり2時間に1回のサイクルで家全体の換気がなされること。一日に換算すると計12回が、健康で快適に暮らすために必要な換気量の目安ということになります。必要な換気量は、居室ごとの窓をこまめに、一定時間開け閉めすることで確保できますが、1日に12回も行うことは大変です。そこで、家づくりの段階で窓の位置にひと工夫してみましょう。

できれば居室ごとに窓は2面、部屋の対角線上に設定。すると、スムーズな空気の流れにより、大量の空気が一度に入れ換わります。同様に、各階ごと対角線上に窓を設定すると、風の通り道ができて住まい全体で大きな換気効果を得ることができます(開閉式の天窓を設けるのも良いですね)。また、「計画換気システム」を自然換気と併用することも非常に有効です。機械的に強制換気をおこなうため、適切な換気量を維持することができるのです。

暑さを防ぎ、よく眠れる
家にするには?

充実した眠りをもたらす室内環境を実現するために大切なのが、昼間の日射対策。夏場、特に西側の窓はほぼ垂直に陽射しを受け、そこから侵入する熱エネルギーはなんと、1㎡あたり電気ストーブ1台分と同じともいわれています。さらに高断熱住宅では、この熱エネルギーをより室内に溜めこんでしまいやすく、夜の寝苦しさの大きな原因になってしまうのです。

この不快さを防ぐ秘訣は、窓の外側で日射を遮ることです。窓の内側のカーテンなどで防ごうとしても、実は50%以上の日射熱が室内に侵入し、こもってしまうのですが、窓の外側にスクリーンなどを設ければ、約70%もの日射熱をシャットアウト。うだるような暑さも緩和できます。

また、家自体の断熱性能が低いと冷暖房のロスが大きくなり、設定通りの室温になりにくく外気温に眠りを妨げられてしまいます。そこで、外壁や屋根、床下などにおける断熱材の使い方がとても重要です。適所に隙間なく、しっかり施工されているかどうかで、その効果は全く違うものになります。

この2 点に気をつければ、冷暖房の併用により、効率よく快適な室内環境を実現できる住まいに近づくでしょう。

室内の採光は部屋の
用途を考えて

居室それぞれの使い方によって、確保したい明るさの目安があります。例えば、読書をするのに適した環境をつくるには、500ルクスは必要であるといわれています。キッチンで料理をするには、200〜500ルクス。編み物や裁縫など細かい作業をする部屋には1,000〜2,000ルクス程度が必要です。

この基準で考えてみると、子供部屋の場合、お子さんがそこで本を読んだり勉強をするのですから500ルクスは欲しいところ。6帖の広さなら、おおよそ5㎡以上の大きさで窓を設けましょう。目安としては掃出し窓(高さ2m×幅1.7mとして)を1ヶ所と、腰窓(高さ1.2m×幅1.7mとして)を1ヶ所設ければ、日中には500ルクス以上の明るさが行きわたる健康的な環境になります。

これがリビングの場合、同じ5㎡分の窓を設けても、20帖ほどの広さまで必要な明るさを確保できます。なぜなら、会話や団らんを楽しむ空間としては、200ルクスもあれば不快さやストレスを感じにくいからです。つまり、居室の大きさだけではなく、そこは何をする部屋なのか、ということも考えながら窓の大きさや数を設定することが大切です。

ストレスのない音環境
とは?

音には、ストレスを感じず、快適に聞くことができる強さがあります。その目安は40〜50dB(デジベル)で、郊外の住宅地や静かなオフィスなどが当てはまります。

もし、幹線道路に面している(約70dB〜)などといった騒がしい場所に住まいがある場合には、外部からの音を低減することが大事。また、お隣の家との距離が近いといった場合には、逆に家の中からの音を漏らさない配慮が必要になります(テレビの音や会話が70dBほどになることもあるのです)。どちらの場合にも、外壁の厚さはなるべく15cm以上に設定し、開口部にはペアガラスを用いた遮音性の高いサッシを採用するなどといった処置をすることが望ましいでしょう。

立地条件によって遮音性の重要さも異なります。適切な工夫で、家の中と外、どちらにもストレスのない音環境にしたいものです。

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