建物を東隣地側に寄せ、ふたつの道路に対して「雑木の庭」を配置。周囲の自然や庭木に対応する開口を設けたことで、外からの視線をやわらげながら、立体的に自然を感じることができる住まいとなっている。またコーナーに自然石を配置する魅せ方や、玄関ポーチのステップを横向きに配置し、植栽や駐輪場、ウッドデッキのスペースを確保するレイアウトなど、敷地や環境を熟知したプランニングが高い評価を得た。
南北にあかり取りの窓を設置したことで、一日を通じて自然光がさし込む空間に。さりげない窓の配置で南国風の住まいに仕上がっており、明るく、新鮮な表情を見せてくれる。玄関からフラットに続く室内は白で統一されており、すっきりとした空間も好評。通り土間の抜け感がすがすがしく、床下地熱冷暖房を設置した高い住宅性能には、夏もひんやりと涼しく、冬は足元も温かく過ごすことができる住まいが期待できる。
総評
大開口の高さを少し上げることで、落ち着きが感じられる窓辺を作り、その小上りから薪ストーブのある土間へとなめらかにつなげた平屋の住まいを完成。合理的かつ美しいプランはよく考えられており、設計力を感じさせる。戸外の緑を自然に室内へと導く大開口部は、サッシの納まりも美しく、バランスのとれたインテリアを演出。温かみのあるデザインで、これまでのスーパーウォールのイメージを払拭する好例となっている。