「自然エネルギーを生かした家」という建て主からの要望に応え、大きな開口部で太陽光を効率よく取り入れた住まい。耐候性の高い木製ルーバーは経年変化にもよく配慮されており、外観を個性的に演出している。またこの木製ルーバーが高度の高い夏の直射日光を防ぎ、高度が低くなる冬の太陽光を室内にうまく取り込む効果を発揮。寒冷地でありながら外に大きく開かれ、寒さを忘れるような開放感を提供するプランが高く評価された。
高台のロケーションを生かすべく、家のどこからでも美しい眺望を楽しめるプランを提案。夏の強い日差しを軒の出で抑え、室内からの眺めを遮らないよう植栽計画にも配慮されている。リビングダイニングとつながるウッドデッキは、軒の出によりさらに快適な空間に。外構やアプローチ、家のプロポーションなど、住まい全体で戸外空間を取り込み、造り込まれた庭を楽しむ工夫を施すことで、四季の風情が体感できる住まいとなった。
総評
築70年の住宅を建て替え。思い出の詰まった庭木を残すために、既存の2棟に沿った配置計画とし、2棟間のスペースを「前庭」と「通り土間」として建物内に取り込んだ。空間をまとめるのが困難な2世帯住宅を、「通り土間」を共有させることでやわらかくつないでいる。この「通り土間」は、近隣の住人との憩いの場としても活用。旧屋の床の間や梁など、一部建材を新しい建物に再使用し、新しい世帯、新しい建物との融合をはかった。