築100年超の古民家を
高性能でモダンな家に

【古民家再生 伝統と先端が和する家】兵庫県加古川市

家族構成:夫婦+子ども+犬

構造:木造

規模:1階建て

延床面積:311.11㎡ 

設計・施工:前川建設株式会社

  • リフォーム

老朽化した築100年の古民家が暮らしやすい現代的な住まいへ。居住部となるLDKを中心に、用途に合わせてリフォームを実施。

古民家を安心して住まえる家に

曽祖父が建築した築100年を超える古民家を、居住性の高いモダンな住まいへとリフォーム。老朽化した箇所を修繕するだけでなく、安心して快適に暮らせる機能を備えた現代的な住まいを目指しました。
奥様が寒さに弱いこともあり、暮らしの中心となるLDKは寒さ対策を徹底。天井を外した吹き抜けは断熱材でくるみ、天井、壁、床にも高性能な断熱材を充てんしました。庭に面した窓は高断熱のアルミ樹脂複合サッシを採用。気密性を高め、夏涼しく、冬暖かい室温環境を整えました。
また、安心して暮らすために、現行の耐震基準を確保。石場建ての基礎をコンクリートで補強し、構造計算に基づいて耐力壁や柱を増設しました。古民家の趣を残しつつ、耐震等級1以上の耐震性能を実現しています。

 

田の字づくりの和室から客間、食堂、居間に改築されていたスペースは、梁を現し、開放感のあるLDKとして再生。耐力壁をプラスしたリビングの窓まわりは、木製のガラリ、高断熱窓、障子を重ね、日本的な美しさを際立たせています。ガラリと障子を引き込むと視界が広がり、窓枠が切り取る絵画のような風景がキッチンからも楽しめるように。往時の面影を残す建具は造作収納の引き戸として再利用させ、既存の家具ともなじむモダンなスタイルに仕上げました。
アイランド型のキッチンは梁と色合いを揃えて統一感を高め、家電が収まる背面収納で生活感をカバー。キッチンの後ろにパントリーや洗濯周りの家事が完結できるランドリースペースを設置し、スムーズな家事動線を意識しました。
伝統的な意匠と機能性が両立した住まいは、住み心地満点。「ウッドデッキでBBQをしたり、暖炉の前でくつろいだりと、家で過ごす時間が格段に楽しくなりました」。生まれ変わったわが家で新しい家族の歴史を刻んでいます。

古民家が持つ美しいプロポーションはそのままに、外壁を漆喰と聚楽で塗り分け、モダンなデザインに。大谷石の門柱も補修して再利用し、風格を残しました。

リビングの一角に掘りごたつ式のワークスペースを設置。蔵に眠っていた夏用の葦戸を造作収納の扉に再利用し、和の風合いを際立たせました。

屋根瓦が落ち、雨もりしていた事務所兼倉庫を、吹き抜けのギャラリーに。奥に織部床の茶室を設置し、茶器を納める水屋は既存の葦戸を再利用しました。

■アプローチ

ギャラリーと庭に挟まれたアプローチは、移設した飛び石に伊勢砂利を敷き詰め、“おもてなし”のエントランスを演出しています。

■玄関土間

上がり框は杉材、土間は暖炉と同じ大谷石を採用。中霧島の左官壁は、ギャラリーと玄関、LDKなど空間ごとに異なる色を選んでいます。

■ライブラリー

母屋は居住部となるLDKと来客用の大広間とに分割。その奥にある元和室はモダンな洋家具を置き、庭を眺め、読書に勤しむライブラリーに改修しました。

■キッチン

対面式キッチンに憧れていた奥様が選んだキッチンは「リシェルSI」(LIXIL)。色は古民家の梁に合う「グレースグレー」。

■洗面室

キッチンの後ろに洗面室兼家事室を配置。コンパクトな動線で移動のストレスを解消し、毎日の家事をスムーズに。

■外観

瓦屋根の外観に調和する木製ガラリで、視線を遮り、プライバシーを確保。デッキの段差がベンチ代わりに。

写真:①②以外 渡辺慎一

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