
【祖父母の想いを継ぐ和モダンの家(K様邸)】長野県上田市
家族構成:夫婦
構造:木造
規模:2階建て
延床面積:184.00㎡
施工:松代建設工業株式会社 (設計協力:トベアーキテクト)
祖父母が暮らしていた住宅を夫妻のライフスタイルに合わせてリフォーム。オープンな空間と趣味を充実させるためのスペースを備えた住まいにつくり変えました。
新築を考えていた施主ご夫妻でしたが、「この家に住み続けてほしい」という亡祖母の気持ちに応え、祖父母が暮らしていた家をリフォームすることにしました。
特に課題となったのは、古い家特有の冷えの問題。寒冷地であるため、温熱環境は万全にしたいと壁と天井に断熱材としてグラスウールをしっかり充てんし直しました。シングルガラスだったサッシは、断熱性の高いサッシと交換。
既存障子も化粧直しを施し、1年を通じて室内の温度が快適に保てる温熱環境を整えています。
リフォーム前の1階は、和室が並ぶ典型的な日本の間取りでしたが、中央にLDKを配した間取りに改修。このLDKをコアとして、キッチンや水まわり、趣味室、客間、2階といったこの家のすべての生活エリアにつながっています。
2階は大胆にも2間あった居室をなくし、1階からの吹き抜けを設けて回り廊下のあるフリースペースに改修。ハイサイドライトからの光が1階のLDKまで落ちて、やわらかく照らします。
庭に向かって広縁があったスペースは、玄関から続く土間スペースに。リビングの障子を開け放つと、土間越しに庭の風景が広がります。朝日を浴びながら土間で朝食を食べたり、小上がりに腰かけて春の藤棚を眺めたりと、内と外とをつなぐスペースとして自由な過ごし方が楽しめます。
畳はフローリングに変え、モダンなデザインに仕上げましたが、既存のほぞ跡や古い建具が随所に残されており、昔の面影が感じられる空間に。「親戚が集まると、昔からある柱や鴨居を眺めながら思い出話で盛り上がりますね」と、古い家ならではの温かみを生かした住まいに仕上がりました。
屋根瓦はそのまま残し、黒の吹きつけでモダンな印象に生まれ変わった外観。使われている既存の材の上質さが感じられます。当初は板張りの外観も検討していたが、メンテナンス性を考慮して黒の吹きつけ仕上げを採用しました。
写真:①原常由 ①②以外 石井真弓