大きな窓から
景色を取り込み
外とのつながりを
感じられる家に

【風景と暮らす池畔の家】新潟県上越市

家族構成:夫婦+子ども2人

構造:木造

規模:2階建て

延床面積:123.23㎡

設計・施工:株式会社暮らしの工房

  • 新築

四季折々の美しい景色を家のなかに取り込んだ住まい。建物の断熱性能を高めることで、気持ちが暗くなりがちな冬も美しい雪景色を楽しむことができるようにしました。

内と外を連続させるプラン

プランニングにあたって一番こだわったのが、この恵まれた風景を暮らしの中にどう切り取るかということでした。そこで、まず家の中心となるリビングが池の奥まで見渡す目線になるよう、ソファの位置と向きを細かく設定。ソファからの目線と、池全体を見渡す絶好のロケーションである2階の窓からの目線と合わせて「2つの軸」を設定しました。2つの軸線に合わせて家に角度をつけ、不整形な敷地になじませるように建物を配置しています。

建物の外壁は、歴史情緒あふれる周囲の土地柄を考慮し、経年変化で深みのある色合いに変わる無塗装の杉板をセレクト。敷地周辺に点在する趣のある農機具小屋などの風情を壊さないよう、昔ながらの家の形状を踏襲した切妻屋根にし、周囲に違和感なく溶け込む佇まいを目指しました。間取りは、1階にリビングダイニング、キッチンなど家族が長い時間を過ごすスペースを集約。2階に設けたランドリースペースは、洗濯後に干す、畳む、片づけるが一カ所でできる効率的なレイアウトに。主寝室からは、クロゼットや浴室、洗濯室へ直接アクセスできるようにするなど、毎日忙しい共働きのご夫妻にとって家事がしやすく、時短につながる工夫が充実しています。

建物の断熱性能にもこだわり、断熱材や窓の性能を確保。夏は天井裏に設けたエアコンの冷気が吹き抜けを通して家中を冷やし、冬は薪ストーブの暖気が2階まで暖めるなど冷暖房計画も万全です。「雪が多く、気持ちが暗くなりがちな冬を楽しみたい」とリビングの床のレベルを30cm下げ、窓ガラス越しに積もった雪を見る仕掛けに子どもたちも大喜びです。

無垢の床材、漆喰などの自然素材がほっとくつろげる空間を演出。障子を開ければ、北に設けた庭を眺めることができます。

キッチンとリビングダイニング、ライブラリーのつながり。場所ごとに床のレベルや天井の高さを変え、空間に変化をもたらしています。

道路との高低差を生かし、円形のテラスを設けたアプローチ。ヤマボウシやアオダモ、浅間石などを配し、家の外観と一体感を演出しました。

■リビング・ダイニング

北側の開口からは北庭の緑を楽しめます。リビングは一段下げ、ソファに座ったときに地面と目線が近づくように設計しています。ダイニングの上は吹抜けとし、開放感を演出。冬は吹抜けを通して薪ストーブの熱を2階へ届けます。

■ダイニング

雪のかまくらをイメージし、あえて開口部をなくした吹き抜け。漆喰の壁は、反射する光のゆらぎによるいやし効果も期待できます。天井から吊るしたペンダントライトが温もりを感じさせてくれます。

■キッチン

造作のキッチンは、Ⅱ型のレイアウト。カウンタータイプだった以前の住まいで動きにくさを感じていたため、ダイニングへ横移動で動ける位置に配置しました。「冷蔵庫や戸棚へすぐに手が届くので使いやすい。配膳や片づけ作業もラクです」と奥さま。

■ライブラリー

リビング・ダイニングの一角にはライブラリーを設けています。椅子や照明を置いてオープンな空間とし、多用途に使えます。玄関とリビング・ダイニングの通り道にあるので、常に家族の気配を感じながら勉強や読書に没頭できます。

■子ども部屋

池全体を見渡せる眺望抜群の窓を中心に、子ども部屋をシンメトリーに配置。引き戸を閉めると独立した空間になります。窓は夏に西日を遮る簾をかけるため、手すりを兼ねた木枠を設置しました。

■外観

外観は周囲の風景と馴染むよう、シンプルな切妻屋根に。周囲の風景を家の中に取り込めるよう、建物の配置を考えました。外壁には、海辺の土地でも耐久性が高いことが証明されている杉板を採用しています。

写真:①②以外 渡辺慎一

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