[セミコートハウスの家]広島県福山市
LIXILメンバーズコンテスト
新築部門・大賞受賞作品
家族構成:夫婦+子供
構造:木造軸組
規模:2階建て
延床面積:108.78㎡
設計・施工:Tamada工房 株式会社
決して広くない床面積ながら中庭に向けて開放的に設計することで、明るく広々とした空間に。
開口部の配置や天井高などの工夫によって風の流れや自然光の陰影を感じ、自然との調和を味わえる住まいになりました。
間口9.8mに対して奥行きは約23m。そんな細長い敷地での家づくりにあたって、Aさん夫妻は「プライベートな空間を大事にしたい」「自然環境を感じて暮らしたい」という要望を持っていました。
しかし、間口に対して奥行きの長い敷地では、どうしても中間部分での通風・採光が制限されてしまいます。そこで、中庭を設け、その回りに居室を配置するというセミコートハウスのプランによって、外部の開放感を生活空間に取り込もうとしました。東側に隣地の建物が迫っていたため、中庭は西に向けてコの字型に開くことに。
西側を塀で囲って外からの視線を遮り、中庭に庭木を配することで自然とも触れ合うことができるようにしました。そんな中庭に自然光を導くため、南向きの屋根は緩勾配として、軒高を低く設定。将来、下屋にもソーラーパネルを設置することを想定した片流れの形状に。
開口部の配置は南北方向をメインにして、東西方向は隣家の窓と重ならないように高さを調整。また、上下階での風の流れを考慮に入れ、家全体で自然な通風が図れるように計画を検討していきました。
玄関アプローチは、道路に面しているため、開口部を減らして閉鎖的に。しかし、玄関に入るとその正面に大きなFIX窓があり、そこから中庭の景色がダイナミックに広がります。
中庭に沿った通路を進むと、キッチン、ダイニング、リビングが連続した空間へ。キッチンから物干し場まで水回りの家事動線は一直線につながりました。
「必要なものと必要でないものを明確にしてほしい」という要望を受け、無駄な動線、不要な意匠をそぎ落として、シンプルな設計に。コンパクトな空間の中のあらゆる部位に理由と意図が込められた「セミコートハウスの家」。家族の心と暮らしをさりげなく支える住まいとなりました。