写真●後藤徹雄 一部の写真提供/太幡英亮氏

白馬連峰をのぞむ
多角形のフォルム。

自然の厳しさに耐えながら
美しい景観を享受する家

[Hakuba House]長野県北安曇郡

LIXILメンバーズコンテスト

新築部門・エコロジー賞受賞作品

家族構成:夫婦+子ども3人

構造:SW工法

規模:地上2階建て

延床面積:142.68㎡

施工:有限会社 彦工務店

設計:太幡英亮(名古屋大学)

  • 新築

雄大に展開する白馬連峰の眺望を室内に取り込みながら、3mの豪雪、零下の気温、強風といった厳しい冬に耐える。自然環境との絶妙な距離感がこの家では実現されました。

軸組とパネルの無柱空間を柔らかな風合いの内装に

長野県北西部に位置する北安曇郡白馬村は、北アルプスの麓にあり、夏は登山、冬はスキーを目的とする観光客が訪れる豊かな自然環境に恵まれた地です。そんな地で代々ガラス店を営むMさんは、自邸の新築にあたって、建築家の太幡英亮氏に設計を託し、施工は地元で確かな施工技術と建築実績を持つ彦工務店に依頼しました。

太幡氏が設計のテーマとしたのは、「美しい自然の眺望を内部空間に取り込むこと」と「厳しい自然環境から暮らしを守ること」、そして、「景観の中に調和する建物とすること」でした。

白馬連峰を望む西側と日当たりを取り込む南側に大きな開口部を用意。その他の面は開口部を抑え、雪や寒気から室内を守ることに。構造は、断熱性の高いSW工法のパネルと集成材で構成し、室内に柱の無いオープンな空間を実現。壁と天井が連続した一枚の外皮のように室内を包み込んでいます。

外壁とその内側の壁は白で統一し、連続感を演出。構造とは関係のない内壁はシナ合板などの木質系建材で仕上げ、視覚的なメリハリをつけながら、木の温かみをもたらしています。

1階の中心となるのは、西の大開口に面したLDK。屋根の傾斜に沿った吹き抜け天井によって、伸びやかな雰囲気が漂います。リビングの一部は一段低く掘り込まれてカーペット敷きに。ワンルームのLDKの中でも多彩なくつろぎ方ができます。

1階の東側は大きなガレージ。クロスカントリースキーやカヤックなど海や山でのスポーツを趣味とする家族のため、それらの用具をおさめられるサイズになっています。

2階では、階段スペースを中心としたホールがセカンドリビングや子どものスタディコーナーとして機能。家族だけのリラックススペースとなっています。

西面の山並みの眺望、南の日差し、薪ストーブの温もり、一体感のある間取り、アウトドアグッズをおさめるガレージ、とコンパクトな建物の中には、生活を豊かにするための要素がふんだんに盛り込まれました。

家の前で薪割りに精を出すご主人。薪割りはこの家に住むようになって始めたそうです。

リビングの西の大開口からは、田園と白馬連峰を一望。室内に雄大な景観が取り込まれました。

冬には雪に覆われるM様邸。雪景色の中にとけ込みつつ、独特な存在感も漂わせています。

■玄関

玄関戸は天井高に合わせ、土間も外のポーチと同じレベルに。内外をひと続きにつなげています。

■1階リビング

玄関、土間、リビングと空間が続き、夏場には爽やかな風が吹き抜けていきます。

■DK

SW工法の断熱パネルと集成材フレームで構成し、室内は無柱の空間に。壁から天井へと連続して包み込まれるような感覚に仕上げられました。

■2階リビング

2階のセカンドリビングから見上げたところ。壁から天井まで突き付けで展開。光も心地よく広がっていきます。

■土間

スキー板を手入れできるように長く設けられた土間。リビング寄りの場所には薪ストーブを設置。土間はストーブや太陽熱を蓄える働きがあります。

■2階洗面室

2階の洗面台はLIXILのピアラ。コンパクトにおさまり、清潔感のある洗面室となりました。

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