[丘と路地のある家]新潟県燕市
LIXILメンバーズコンテスト
新築部門・準大賞受賞作品
家族構成:夫婦+子ども2人
構造:木造軸組工法+RC造
規模:2階建て
延床面積:206.60㎡
施工:アサヒアレックスホールディングス株式会社
設計:アサヒアーキテクト(株)
矩形の整った敷地に遊び心のある家を。そんな要望に応えて生まれたのが、丘と路地のある家。開放感あふれる2階リビングや路地の先にある趣味室など変化に富んだ空間には豊かな時間が流れています。
郊外の住宅地の角地に、ひときわ目を引く、ユニークな外観の家があります。南側には、こんもりと樹木が茂る丘。コンクリートの擁壁の隣には緩やかな片流れの屋根を持つ建物があります。その1階部分には風穴を開けるかのように路地状の駐車スペースがあり、西側正面から回り込んで南側から見れば、丘の上に立つ平屋建てにも見えます。まさに「丘と路地のある家」という愛称そのままの姿を見せているのが、H邸です。
「小さくても森のような憩いの場を設けて近隣の人にも喜んでもらいたい。その木々の間を抜けて何気なく訪問できる、大らかな住まいにしたい」。そんな夫妻の思いを反映して、プランに「丘」という切り口が生まれることになりました。
丘の斜面はなるべく自然な雑木林のような雰囲気にしたいということで、静岡県の山林の山肌を土壌ごと移植することに。そして、LDKは2階に配置し、丘に向かってL字状に開口部とテラスを設けることで、その景色を存分に堪能することに成功しました。
屋外との一体感を高めるため、天井はテラス部分と連続するようにデザイン。室内は、シックな色合いの南洋材メルバウで床を仕上げて落ち着いた空間に。レッドシダーの天井、左官仕上げの壁ともしっくりと調和します。夫妻の好むヴィンテージ家具とも巧みにコーディネートされて、独特の温もりが心地良い空間となりました。
路地の先には、基礎と一体化したRC造のホビールームも用意されました。現在はご主人の音楽スタジオとして利用されています。古い蔵の戸を再利用した入り口は日常とは違ったムードを漂わせており、男の隠れ家の趣に。
暮らしを楽しむための要素が家のすみずみにまで散りばめられたH邸。そこには、住まい手と作り手の遊び心がふんだんに盛り込まれています。