スーパーウォール工法で建てた
寒さ知らずの家で、
快適な2世帯暮らし

写真=VOLANTI 小森学

北海道常呂郡訓子府町 K様邸

規  模:地上2階建て
設計・施工:株式会社イワサキ

北海道はオホーツクで養蜂業を営むKさん。
新居として親子2世帯の店舗併用住宅を建てるにあたり、
長年悩みの種だった寒さをなんとかしたいと、
スーパーウォール工法を採用。
一筋縄ではいかなかった工務店探しから
現在の暮らし心地までを紹介します。

地域への恩返しも込めて、
街に開いた店舗併用住宅を
新居に求めた三つの条件とは?

戦前から四代にわたる「ハチ屋」で、養蜂業を営んでいます。世代交代をきっかけに、より多くの人に親しまれるよう、商品のブランディングなど新たな取り組みを始めることになったのですが、新居建設の話も、そんな流れで持ち上がりました。

これまでは養蜂という仕事柄、街とは離れた場所に住んでいたのですが、街中に拠点を移し、店舗併用住宅を建てて地域に開いた住まいにして、地域に恩返しができればと思ったのです。

新居建設にあたっては、三つの必須条件を定めました。

まず一つが、寒さを解消できる暖かい住まいで、両親のために掘りごたつを設けること。これまで住んでいた家は両親が約30年前に建てたもので、冬場は身を切るような寒さが悩みの種だったのです。二つ目が、私と両親が住む2世帯住宅となるため、将来的には使い方や間取りの変更に対応できること。そして三つ目が、店舗併用住宅であるためショップ・デザインもできる家づくりのパートナーを選ぶ……ということでした。

家づくりは決して妥協しないこと
ようやく出会ったパートナーは、
地元・北見の工務店

一見シンプルな要望のようでありながら、いざ、家づくりのパートナーを探し始めると、これがさっぱり思うように進みませんでした。はじめはハウスメーカーや大手ビルダーをあたってみたのですが、営業担当者と話していてもどうもピンとくるものがない。

高断熱とローコストを謳った大手ビルダーは設計に柔軟さを欠き、両親が望む掘りごたつが実現できず、構造的にもフレキシブルな間取り変更に対応できないことがわかりました。行き詰まって地元・北見に戻り、住宅関係のアドバイザーに意見を仰いだところ、「家づくりは絶対に妥協してはダメ」との言葉が。そして紹介されたのが、地元・北見を拠点に住宅から店舗デザインまで幅広く手がける工務店・株式会社イワサキさんだったのです。

入念に検討して決めた
スーパーウォール工法
見違えるように暖かくなって大正解

イワサキさんはショップ・デザインの経験も豊富で、家のつくりも2×4や2×6ではなく、間取り変更がしやすい在来工法。気になる断熱性ですが、これはLIXILの「スーパーウォール(SW)工法」を勧められました。ただご提案をそのまま受け入れたわけではなく、断熱性については私も独自に勉強を進めていたので、慎重に検討を重ねました。断熱性の高さは数値で示されますが、当初候補に考えていた大手ビルダーのほうが数値で見るとわずかに高かったのです。ただそれは体感として気になるほどの差ではなく、むしろ気密性の高さを示す隙間相当面積(C値)は「スーパーウォール工法」のほうがすぐれていたことに惹かれました。いくら断熱性が高くても、空気が出入りしてはせっかくの暖かさが損なわれてしまいますから。

また断熱性が世界トップクラスで、特殊薄板ガラスを採用して軽量化したトリプルガラス「エルスターⅩ」の併用もご提案いただき、外皮計算や光熱費のシミュレーションなどを出してもらいました。こうした検討を重ねながら、断熱性・エネルギー効率・省エネ性を総合的に考えて、納得した上でお願いすることとしました。

実際に住み始めてからは、「快適」の一言。住宅部分はさらに断熱性能を高めた充填付加断熱工法「スーパーウォール デュアル」で外断熱も施しているため、家の中がまんべんなく暖かいんですね。以前の家は、冬の屋内の温度差も激しく、トイレに行くのも一大決心で、入浴も湯につかるまでガタガタ震えていたほど。それが今や家中どこにいても暖かく、リビングと個室の温度差があっても、せいぜい1〜2℃くらいといった微差でしょうか。

「スーパーウォール工法」のメリットをもう一つ発見したのですが、騒音や雨の音が気にならなくなったんですね。特に1階にいるととても静かで、外に出て初めて「こんなに雨が降っていたんだ」、と気づくことも。気密性がすぐれていると、遮音性も高いことを身をもって知りました。

光熱費については、以前が灯油ストーブで今はガスなので、単純に比較ができないのですが、LIXILの方が調べてくださったところ、この規模の住宅にしてはコストパフォーマンスがよいとのことでした。

家族や街のみんなが集う
親世帯の1階リビングは
寒冷地では難しい
念願の掘りごたつも実現!

間取りに関しては、集う時間も大切にしながら、2世帯間でほどよい距離感も欲しいということをリクエストしました。1階を両親、2階を私の世帯と完全に分け、玄関は共有で使うものの、そのすぐ横に2階への階段を設けることで、帰宅すると私は2階に直行してプライバシーを確保できます。

仕事柄、父と森で作業をして衣服が汚れた状態で帰宅することが多いのですが、以前は玄関からリビングを通らないと浴室や個室に行けない間取りで、汚れた格好でリビングを横切ることに抵抗がありました。今回は玄関を上がったら浴室に向かえる間取りにしてもらい、重宝しています。

両親のための1階は、キッチンを中心とした回遊できる使い勝手のよいプラン。リビングの一角には和室を設け、建具を引き込むとLDKと一体化した大広間として使えます。念願の掘りごたつは床下換気の関係で寒冷地では難しいのですが、これもイワサキさんに尽力いただき、和室に設けることができました。掘りごたつを囲み大勢でくつろげるだけでなく、床に収納できる仕様にしてもらったので、泊まり客がきたら掘りごたつを畳にしまって、和室に泊まってもらえます。

小さな隠れ家を散りばめた
スタイリッシュな2階の子世帯

大勢が集う1階に対し、2階は隠れ家的なイメージでデザインされています。隠し部屋のような書斎コーナーや、片流れで梁を現しにした寝室など、遊び心ある居場所も気に入っています。

リビングについては、竣工当時は独身だったので、キッチンはいずれお嫁さんに選んでもらいたいと、配管だけを先に埋設しました。イワサキの担当者さんからは、その心遣いがいいと、妙に感激されたのですが……(笑)。結婚して選んだキッチンは「リシェルSI」。造作でカウンターをつけるなどスタイリッシュにアレンジしています。建具もヴィンテージな味わいのある「ラシッサD ヴィンティア」を使い、キッチンとドアをダークブルーで揃えました。親世帯とはまた違った雰囲気を楽しんでいます。

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