<審査評>
シンプルなデザインを、いかにしてきれいに仕上げるかというのはむずかしい課題なのだが、この作品は、デザインの完成度が非常に高く、この課題をクリアしている。例えば、通風を考えたアルミの縦格子を外壁材としてうまく使い、一方で手すりには木材を横格子として使い、縦の線と横の線を非常にうまく配している。また、室内の段差が空間に軽快感を生んでいる。シンプルな美しさを表現することができる、すぐれたデザイン感覚と高い技術を高く評価したい。
昨今、段差のないバリアフリーが増えているが、本作品の「段差を楽しむ家」という設計コンセプトの通りに、ゆったりした、上り降りしやすい階段を設ければ、必ずしも段差がないのが一番よい住宅とは限らないのではないだろうかと思えてくる。バリアフリーですべてフラットにして、それに慣れてしまうと、ほんの少しの段差やちょっとした障害物でつまずいてしまうことになりかねない。本当の意味のバリアフリーとは何かを見直すきっかけにもなる作品ではないだろうか。
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