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ホーム > 暮らしの役立ち情報 > 著名人が語る「私のこだわり空間」 > シンプルに暮らしたい イラストレーター 西村玲子
著名人が語る「私のこだわり空間」14




イラストレーター 西村玲子さん

色鉛筆を使った優しい雰囲気のイラスト。軽やかなエッセイ。
女性たちの「おしゃれな日常への憧れ」を描き続ける西村玲子さんが
リフォームで手に入れた、清々しい空間と暮らしとは。
イラストレーター 西村玲子さん イラストレーター・エッセイスト。1942年大阪生まれ。24歳から東京在住。同じ頃イラストレーターとして仕事を始め、現在に至る。近著に『玲子さんのわたしサイズの暮らしの楽しみ』(青春出版社)『リフォームでシンプルに暮らしたい』(立風書房)、『西村玲子の50歳からのおしゃれ生活』(大和出版)他。
リビングルームのソファで。すっきりした背景が西村さんのシルエットのきれいな室内着姿を引き立てています。ミルク色のカーテンでやわらいだ光がつくるシルエットも、この部屋では素敵なインテリアの1つ。
優しいタッチのイラストとともに語られる、日常生活への夢や憧れ。200冊を超える著書の数に、西村玲子さんの根強い人気がうかがえます。都内の住宅地にあるご自宅は、3階建てマンションの最上階。すっきりしたリビングで上の写真のごとく静かに微笑む西村さんですが、実はリフォーム以前にはあふれるモノに囲まれた時代がありました。

「15年経って、壁紙や色々なものが傷んできて。新築も探しましたが間取りの気に入るものがなく、引っ越しても結局リフォームしたくなりそうな気がして、思い切ってここをリフォームしました。ともかく広々としたかったですね」

このLDKも以前は3部屋に区切られていて、キッチンもクローズド。壁を取り払ったことで必然的にモノを減らさなくてはならなくなりました。

「壁があれば、壁際に家具を置きたくなるし、何か立てかけたり絵を飾ったりしたくなるでしょう? でも壁がなくなると家具も置けないから、どうしてもシンプルになります。それと、古い家具をそのまま置くと、雰囲気は同じなんですね。家具って一度買うとずっと何年も持ち続けることになる。その分、気分が変わらないから今回はお友だちにもらっていただいたりして、新しい家に合わせて買い替えました」

テーブル、ソファ、キャビネット。厳選されたモダンな家具を引き立てているのが、漆喰の壁です。小さなデコボコのある塗り跡が、外光や室内の灯りの加減で微妙なニュアンスを感じさせます。柱などの角は少し丸みをつけた仕上げで柔らかな印象。簡単にピンが刺せるので、額縁やワイヤーも場所を選ばずに飾れます。

ソファの後ろは、作品を並べたちょっとしたギャラリーになっています。額縁の中は、旅の思い出の布や紙を、貼り付けたり縫い付けたりしたもの。

床にテラコッタタイルを敷き詰めた玄関ホール。椅子やグリーンを置き、中庭のような雰囲気に。

リフォームした空間に合わせて椅子やキャビネとなどもモダンなものに。ワイヤーやビーズを使った手作りのオブジェで壁を飾って。たとえ時間のかかったものでも軽やかに見せるのが西村流。


リビングから続くベランダには緑がいっぱい。アンティークのテーブルと椅子は西村さんのお気に入り。
リフォームして変わったことの1つが、自宅で絵と手芸の教室を開けるようになったこと。以前から絵を教えてほしいというファンは大勢いましたが、「自宅は開かずの間。自分でも気に入っていなかったし、とても人を招べる環境ではなかったから」。それが実現し、毎回8〜10人の生徒さんがLDKに集まって、西村さんから直々にイラストレーションの手ほどきを受けています。

「毎回生徒さんたちを驚かせたいというのがあって、部屋のインテリは常に微かにですが変えています。同じ物でも置く場所を変えると、買ったんですかぁと言われる。その辺りにいつも置いていたものなのに、位置を変えたり違う物と並べたりすると新鮮に見えるのね。視線の魔術みたいなもので。自分でも、棚の上に飾って下から見たら“うわぁ、きれいだな”と感激したり、光を当てたらすごくきれいなことを発見したりすることもあります。数を多く持たなくても、そんな風にして表情を変えて楽しむといいなと思いますね」

――「きれいな物を少しだけ」。ある日突然降りてきたように私を支配する言葉。自分の中から現れた言葉なのに、痛く感激する。本当にそう、そうあらねばいけない。
――(『西村玲子の50歳からのおしゃれ生活』より)


その言葉通り室内には、形のきれいなキッチン家電、素材のきれいな布、色のきれいなガラス容器などが少しだけ配置されています。とは言っても、街や旅先できれいな物を見ると欲しくなる。そばに置いておきたくなる。物は増える。どうすればいいのでしょう。

「そうですね。物が好きで、持ちたいという気持ちは大切だと思います。ただ、いい物を見極める目、自分のテイストに合うものを選ぶ目を養って、本当に欲しい物を手に入れるようにしたいですね。そのためには、どんどん街に出て、インテリアショップやカフェなどのお店にも行って」

西村さんは、リフォームの際にもクローゼット以外の収納は最低限にして、そこもぎゅうぎゅう詰めにならないように努めているそうです。




西村さんのファンの多くは、西村さん自身が子育てをしながら描いた『ロンロンママシリーズ』の頃からの同世代の女性たち。どんなに忙しくても、おしゃれして生活を楽しむ猫の顔をしたロンロンママに多くの子育てママたちが共感しました。その後も、ファッション、インテリア、ガーデニング、街歩き、旅、映画、という幅広い題材を、年齢とともに変化する西村さん自身の「今」と重ねて飾らずに表現しています。

「最近では、『70歳のおしゃれ生活』の本を出して、と言われます。私たちはちょうど介護世代で、親の代のそういう本がないからなんですね」

西村さんの描く世界は、あくまでも読者の手が届きそうな、そんな気になれる距離にあるもの。「おしゃれ生活」の先頭ランナーは、後続ランナーを気にしつつ走り続ける心優しきランナーです。


玄関側からリビングを見たところ。左手前のドアが洗面脱衣室、その横の小さな四角い窓は飼い猫「ひじき」ちゃんの出入り口、その奥の観音開きは洗濯機が隠れています。天井の上には8畳の屋根裏部屋があり、すっきりの秘密はここにもありました。
キッチンを正面から見たところ。戸棚と天井との隙間にもボールや食器のコレクション。「下から見上げると美しさを発見できることもあります。今日は白いものでまとめてみました」。

制作中のイラスト原画。「街で素敵だなと思う女性を見かけたら、そばに近づいて間近で観察することもあります(笑)。やはり雑誌などで見るより生きている人間が見本です」。リビングに隣接した仕事場で。
写真=林 雅之
photo=Masayuki Hayashi
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