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ホーム > 暮らしの役立ち情報 > 著名人が語る「私のこだわり空間」 > 好きな「色」と暮らそう イラストレーター 上田三根子
著名人が語る「私のこだわり空間」05




イラストレーター 上田三根子さん

明るくポップなイラストが人気の上田三根子さん。 ヤング女性雑誌から子供向け絵本やゲームのキャラクターまで、上田さんのイラストは、 幅広い年齢層に愛されています。シンプルなのに真似のできない「配色」の生まれる部屋とは一
イラストレーター 上田三根子さん
広告、雑誌、装丁など幅広い分野で活躍するイラストレーターの上田三根子さん。 著書に『ぼくんちの安全・安心ブック』(講談社)、『地球となかよく暮らす本』(ファンハウス)など。


ずっとどこまでも伸びる廊下。自分の姿が映るのを見て、初めてそこが「鏡のドア」であることに気づきます。 イラストレーターの上田三根子さんは、赤いシステム手帳を手に鏡の向こうの部屋から現れました。

「ちょっと面白い間取りでしょ? 真ん中に玄関があって、左側の鏡の向こうが私の仕事部屋、 反対側に台所やトイレ・バス、アシスタントの部屋、打ち合わせルームなどの空間がまとまっています」

このマンションを仕事場専用に購入してリニューアルする以前は、ずっと自宅と仕事場がいっしょ。 どうしても南側がリビングになり、仕事部屋は北側に。だから南側の一番暖かい場所で仕事がしたかったという上田さん。 南に面した細長いリビングと、元々和室だった部屋をくっつけてL字型の仕事スペースにしました。

「L字型になっているから、仕事机に向かっているときにはソファやパソコン机は見えないし、 反対にソファに座ると仕事関係のものが一切見えない。だから、同じ部屋なんだけど雰囲気は違う空間ですね」

集中とリラックス。創作に必要な両方の要素を兼備したこの部屋のなかで、 上田さんは空間を移動しながら仕事モードとくつろぎモードを切り替えます。
表紙写真のドアを閉めた状態。ドアの鏡に廊下が映り、不思議な空間に。 市松模様を見ると、廊下の左側の壁が斜めにライン取りされているのがわかる。

鉛筆描きの最初のラフ。色塗り仕上げまでのすべての工程を1人でこなす上田さん。 後ろにズラッと並んでいるのは彩色用のマーカー。

念願の南に面した仕事部屋。 「気に入らない色のソックスをはいてきた日は、1日中気分がよくないですね。人にはわかんないのに(笑)」。
仕事机の後ろの棚。人形の配置から本の背の色合わせまで、上田さんの計算しない「本能的な」美意識によって飾られている 。
愛用のMacは主にメールとワープロに使用。「ホームページも準備中だけど、なかなか時間がなくて」。 仕事の集中から解き放たれる空間。


赤・青・黄色。上田さんのイラストの個性は、 何といってもそのビビッドな色使いにあります。イラストレーターとして30年近く活躍する間、 描く女の子たちの顔や線の太さなどが少しずつ変化しても、基本的な色使いはほとんど変わりません。

「ふだん私は、色をたくさん使う仕事をしていますよね。 だから壁や床などには色を持ってきたくなかった。 仕事場以外の方は壁や収納は全部白で統一して、床は市松のモノトーンにしました。 トイレや台所の壁も白のタイル張り。そうして色を抑えておいて、 ポイントで部屋ごとに赤や青や黄色がぽん、ぽん、ぽんとあるという感じですね。 仕事部屋の方は、壁は白で、床や家具はすべて木の色。ソファなど少しだけ赤があるという配分です」

最初にざっと室内を見渡したときの印象が「赤」だったにもかかわらず、こうして案内してもらうと、 「赤」の分量はほんのわずかでしかないことに驚きます。

「イラストでも同じ。いくら好きだからといって黄色と赤だけで描いたら美しいかというと、そうではなく、 抑えた色や地味な色があるから引き立つということもあるんですよね」

ビビッドな色使いなのに疲れない、飽きない、気持ちいい上田さんのイラスト。 好きな色を引き立てる色んな色への愛情が感じられる配色です。



『アンアン』を初めとする雑誌、子供向けの本、CDのジャケット、洗剤やゲームのキャラクターなど。 様々な媒体で売れっ子の上田さんですが、イラストレーターとしての歩みは、意外にのんびりしています。

「子供の頃から絵を描くのが好きでしたが、それが仕事に結びつけばいいなぁくらいにしか思っていなかったですね。 私がセツ・モードセミナーを卒業した当時は、まだイラストレーターという職業がやっと注目されてきたばかりの時期。 ちょうど『アンアン』などの雑誌が創刊されて若手のイラストレーターを求めていた時期で、 ポツポツそうした雑誌にイラストを描くようになって。 それでも、なかなかイラストレーターとして独立するところまではいかなくて、今でいうパラサイト…ですね(笑)。 近所の同じ年くらいの人はみんな就職して、お給料でお母さんに何か買ってあげたらしいとか、 そういう話を母から聞かされた時代がずっとあって(笑)。やっと35歳くらいのときですね、 イラストレーターとしてこれから先もやっていけるかなと思ったのは」


好きなことも、好きな色もずっと変わらない上田さん。 「時代にウケる」ために、イラストの画風を変えることはありません。

「でも、じゃあ全然時代を気にしていないかというと、そういうことではないですね。 その時々に流行っている洋服やインテリアは気になるし、 買った洋服などはさりげなく絵の中の女の子に着せちゃったりしますね(笑)。 映画のインテリアなども参考にします」

好きな「色」を持つということは、個性的であるということのような気がしますが?

「そうですね。たとえば、自分が好きな色が人にとってたとえ汚い色であったとしても、 それはそれでいいと思うんですよね。いろいろな色があって、それが組み合わさってキレイなわけだから」

白い打ち合わせルームでの取材を終えた上田さんは、赤いシステム手帳を手に、 鏡の向こうの仕事場へ軽やかに戻っていきました。
車で5分ほどの自宅から、 上田さんと一緒に毎日出勤するルル(向かって右)とビリー。「私が仕事中はひたすら眠っていますね」。
「色合わせはパズルみたいで好き」という上田さん。 『上田三根子のCOLOR STORY』(クレオ)には、ファッションやインテリアの色の話が満載。

白のタイル張りに、ポイントカラーの黄色と赤が映えるバスルーム。 「ふだんは自宅で入浴しています」。キッチンも同じく白のタイル張り。
北側の打ち合わせルームから仕事場の入り口を見たところ。 赤いソファの右手奥に、細長い仕事場空間が広がる。 ソファの上の絵は、上田さんがファンだというフランス人のイラストレーター、 フランソワ・アヴリルさんのもの。まるで、このまま上田さんのイラストになるような絵画的な構図です。
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