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ホーム > 暮らしの役立ち情報 > 著名人が語る「私のこだわり空間」 > 「和」の情趣のある住まい 華道副家元 桑原櫻子
著名人が語る「私のこだわり空間」03




華道副家元 桑原櫻子さん


元禄時代に端を発する「いけばな」の副家元であり京都のおばんざいを主とした料理の先生の顔を持つ桑原櫻子さん。お住まいであり、いけばなの教室としても使われている京都・烏丸の町家を訪ね、「和」の魅力にふれました。
華道副家元 桑原櫻子さん
江戸時代から続く華道桑原専慶流14代家元、桑原仙渓・素子夫妻の長女、桑原櫻子さん。21歳のときから副家元をつとめ、現在は料理の先生としても活躍。


京都・烏丸にある桑原さんのご自宅は、100年以上も前に建てられた京の町家です。

うっかりすると見過ごしてしまいそうな、ほんの半間程の格子戸をくぐると、はるか向こうまでつづく細長い路地。打ち水に光る敷石。初めて訪れる者にとっては、あまりの長さと静謐な空気に軽い緊張感さえ生まれます。

「30メートルほどあります。これくらい長い路地は京都の町家でも珍しいといわれますね。この辺りは元々商家が並んでいたんですが、最近はビルや駐車場が増えて、住んでる人は少なくなってきました。だから古いお宅が壁の塗り替えなどされていたら、ほっとしますね。あぁよかった、まだ住みはるんやなぁって」

元禄時代から続くいけばなの家に生まれ、この家で育った桑原櫻子さん。結婚された今も、同じく副家元であるご主人と、家元であるご両親と4人で、離れにお住まいです。100年経っているとはとても思えない壁や天井の美しさについて 「何度も修理し、手を加えています。母が、何でも悪くなってからではあかん、早い目早い目に修理せなあかんと。経費のこともあるからついつい先延ばしにしてると、いつも叱られるんです(笑)」。

庭側から玄関を見る。「家の中で大きな花を活けるときは、外に運び出すのが一苦労」という幅約90センチ、長さ30メートルの路地。

3部屋を通して使っている教室。部屋ごとに素材や張り方に趣向を凝らした見事な天井。生徒さんたちは年齢も性別も国籍もいろいろ。
2階から中庭を見下ろす。蔵の2階には代々受け継がれてきた花器が収納されている。蔵の左手が櫻子さんご夫妻とご両親の住まい。
階段箪笥は、和のしつらいの真髄ともいえる「用の美」の典型。ほの暗い空間の閑寂に気持ちが引き締まる。
お花の修行の一つとして、子供の頃から稽古の片付けをしてきたという櫻子さん。使ったものをきれいに仕舞うことが、長く使うことにつながる。

現在、母屋の2階がいけばなの教室に使われています。
「人の出入りが多いと、やはり家も早く傷むので、教室はすべて外の会場でしていた時代もあったんです。でも、古い家屋で古い道具を使ってお稽古をしてもらいたいという家元の願いもあって、ここで再開しました」

座敷は文字通り”塵ひとつない“清潔さです。
「ほんまに塵ひとつないと思いますよ(笑)。小さい頃から、内弟子さんたちと一緒にお稽古の後片付けをしながら、道具の仕舞い方や掃除のし方を学んできました。いつの間にか自然と身についているんでしょうね」。

すっきりと片付けられ掃き清められた座敷。磨きあげられた古い家具や床。「和」の住まいの真骨頂は、清々しさとともに発揮されるようです。

「日本画にもいけばなにも和の住まいにも共通しますけど、余白の美しさなのかも知れませんね。飾り立てないからこそきれいにしておくことが大切だと思っています。お掃除を欠かさずやっていれば、ここの板戸が割れているなとか、建て付けが悪いなとか、悪いところにすぐに気がつきますしね。それに、住まいをきれいにしておくと、不思議と人が寄ってきてくれはるような気がします」




お花の先生というと優雅な職業と思われがちですが、実は大変に体力のいる仕事。その上、櫻子さんの料理上手の評判が広まって、ついに3年前からは料理教室まで開くことになりました。

料理を始めたことで忙しさは増したけれど、いけばなには好影響をもたらしてくれました。

「料理というのは、たいてい誰かのために作りますよね。美味しいといって食べてくれる人の顔を想像しながら。小さい頃から流儀のお花を勉強してきましたけど、お花にも”おもてなしのこころ“を託したいと思うようになったのは、料理を始めてからです。型も大事だけど、見てくれる人を思うことがもっと大事だなぁと」

花が野や山に咲いているときの風情を大切に、というのが代々受けつがれている気風。櫻子さんも忙しい時間を何とかやりくりしながら、四季折々の花を見に、野山に出かけていかれるといいます。

「どんなに忙しくても、お花を活けているときには、気分がすーっとします。私にとってお花は仕事でもあるけれど、一番リフレッシュする時間でもあるんですね」

伝統を受けつぐ重圧など微塵も 感じさせない櫻子さんの柔和な笑 顔に見送られて、町家を後にしました。

台所に立つと気分が安らぐという櫻子さん。お花を活けるときの真剣な副家元の顔から、もてなし好きの優しい主婦の顔へ。

桑原家の冬の定番料理、合い鴨鍋。おせち料理の後に家族で囲んだり、おもてなし料理としても。合い鴨、粟もち、水菜は錦市場で。
ご主人の和則さんと。副家元の和則さんは、学生時代に櫻子さんに”つかまり“華道の道へ。
機会が減ったとはいえ、職業柄和服姿は板について。去年の春にはモロッコで、和服で京の豆料理や四季の花を披露し大好評だった。
料理教室のホームページ
http://members.aol.com/sakurakock/ckhome.htm

もとは“おくどさん(台所)”だった土間から室内を望む。活けかけの投入の花材は、ボリスベッカー(白い菊)、ウメモドキ、松。壁の花は、木瓜とパフィオペディルム、里芋の葉。広々とした簡潔な空間で、一見控えめな花たちが、家主の厚いもてなしの心を伝えています。
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