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ホーム > 暮らしの役立ち情報 > 著名人が語る「私のこだわり空間」 > 趣味のアトリエを持つ暮らし キルト作家 柿谷堪子
著名人が語る「私のこだわり空間」01
 
キルト作家 柿谷堪子さん

 

富山県立山山麓にある粟巣野スキー場の近くに家具工房「KAKI」と、そのスタッフの 妻や友人たちでつくるキルトグループ「マザーズキルト」があります。 柿谷堪子さんは、マザーズキルトを主催するキルト作家です。豊かな自然とモノ作りの仲 間たちに囲まれたアトリエのある暮らしを訪ねました。



堪子さんのアトリエは、森へ続く広い芝生に面 した部屋。この部屋はキルト教室になるほ か、カフェになったり、工房スタッフのダイニングルームになったり。キルト専用のアト リエとは少し様子が違います。

「2階にも仕事部屋があるのですが、閉じこもってゆっくり制作する時間がなくて。キル ト台を好きなところに持ってきて、そこがアトリエといえばアトリエ(笑)。気候のよいと きには芝生にキルト台を出すこともありますよ」

生地の微妙な色がわかるように自然光の射すところならどこでも、そして工房全体の気配 がうかがえる場所ならどこでも、アトリエの候補に。堪子さん式「移動アトリエ」と言え そうです。 キルト作りもカフェの主人もお料理も自然体でこなす。住まいとアトリエ、庭・・・とつ ながる「移動アトリエ」ならではの技です。

キルト作家 柿谷堪子さん
マザーズキルトを主催する柿谷堪子(かきたに たえこ)さん。昨年住まい1階のリビ ングルームを改装し、カフェに。22才の息子さんは結婚して隣りに住み、ご主人と同じ 家具作りの道へ。娘さんは留学中。

堪子さんたちの作るキルトは実用キルト。ときには屋根裏部屋で来客の寝具となる。

堪子さんのお住まい。1階の芝生に面した部屋がカフェ兼アトリエ。奥にキッチン、 ご主人の清さんの仕事部屋。2階手前が堪子さんの仕事部屋、奥が寝室。冬には2階から 出入りするほど雪が積もる。

マザーズキルトの生徒さんたちと。

何年もかかって作ったキルトも、寝室で惜しみなく使う。これは生徒さんたちの作品 をつないで仕上げたサンプラーキルトと呼ばれるもの。

 



マザーズキルトはもともと、KAKI工房で夫たちが作る家具に似合うキルトを作りたい、 という思いから生まれました。

粟巣野のアトリエで開かれるキルト教室は、ビルの一室の文化教室とはスケールや時間の 感覚が少し違います。

「わたしたちが作るのは飾るキルトや売るキルトでなく、生活の中で使う実用キルト。だ から、生徒さんたちには生活空間も暮らし方も全部見てもらっているんです。ベッドルー ムまで見せちゃってますからね」

そして、マザーズキルトのもう一つの特徴は、ゆっくりと大きなものを作るということ。

「急いで作らないんですよ、この教室では。生地に垂直に針を刺すアップ・ダウンという やり方で、ひと針ひと針。この差し方は時間はかかりますが、でき上がったキルトの中の 芯がずれないので、毎日使って洗濯を繰り返しても丈夫なんです」

月に一度、配色やキルティングのコツを教わりながら、生徒さんたちはベッドカバーやベ ビーキルトのような大作を、1年、ときには数年かけて作っています。




実は堪子さんは東京生まれ。東京が恋しいこともあるのでは?

「それが全然ないですね。今も年に2度、東京のマザーズキルトの教室に出かけますが、 帰りタイトは思わないです。それに粟巣野の自然はキルトの柄や配色の先生ですし、雪に 埋もれる冬の静かな時間は、キルトを創作するのにぴったりの環境ですしね。都会にいた らこれ程集中できないかもしれません」

都会のキルト展で見かけるキルトに比べると、堪子さんたちのキルトは一見地味な印象を 受けます。
「義兄(KAKIのリーダーでご主人のお兄さんである誠さん)がいつも言うのですが、 家具もキルトもどちらも目立ってはいけない。控えめで、それでいて、二つが一緒になっ たときにお互いを引き立て会うようなものでなければって。それと、どちらも長く使える もの。長く使うために美しいものでなければ、とも言います。母親から娘へ、そして孫に まで受け継げるような丈夫で美しいキルトを作りたいですね」

家具づくりも堪子さんのキルト創作も、基本は同じ。そのスピリッツを語るように、堪子 さんのお住まいを初め、工房に点在する建物もすべて何度も何度もペンキを塗り替えられ、 必要に応じて建て増しされて、年月とともに味わいを深めているようです。

工房のまん中に広がる芝生の庭でご主人の柿谷清さんと。「僕らは家具を売ったりキ ルトを教えたりしているけれど、粟巣野の生活を売ったり教えたりしているんだと思って います」。

堪子さんの思い出の一枚をKAKI工房のベンチにかけて。マザーズキルト創始者の故柿谷純子さんが、アンティークキルトの本の中から「堪子さん、作ってみては?」とすすめてくれたのもの。柔らかな朝の陽射しに、淡くて上品な色合いが映えていました。
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