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ホーム > 暮らしの役立ち情報 > 女流建築家の提案プラン > 敷地を有効に利用する
女流建築家の提案プラン 16
土地がどんどん分割されて、狭くなる一方の都会はもちろん限られた敷地を有効に利用して広く住むことは、家づくりの最大のテーマといえるでしょう。
今回は、兄弟姉妹や親子などの世帯が、敷地を完全に分けずに有効利用し、仲良く暮らせる家づくりを提案します。

都会の敷地面積は、どんどん狭小化しています。近接したお隣り同士なら、塀をたてたりしないで、なるべくお互いの様子が判り合えるような、つながりのある敷地境界にしたいもの。敷地を分けなくとも良い人間関係がつくれれば最高ですね。

ことに親世帯と子世帯や兄弟姉妹といった関係であれば、なおさらです。核家族化が進み、おじいちゃんやおばあちゃんと暮らしたことのない子どもたちは、人間というのが加齢とともに身体の能力が衰えていくという当たり前のことさえ理解できません。自分のことばかりでなく、他の人を思いやり、他の人のために力を出すよろこびの味わい方を知るチャンスがないのでしょう。そのためにも、狭い敷地を工夫して世代や年齢の違う人たちと一緒に住むことは有意義だと思います。

今回は、独立してそれぞれに家庭を持つ姉妹が敷地を共有した事例、都会の超狭小地で平面的につなぐことができないため、上下でつながる工夫をした2世帯同居の事例の2つをご紹介しましょう。

(渡会有子)


 
風致地区(※)という、厳しい建築制限の敷地を、姉妹2世帯でより効率的に利用したいというのが建主姉妹の共通の願いでした。姉世帯は子どもがなくご夫婦2人(60代)。妹世帯は、ご夫婦(50代)と子ども2人という家族構成です。さらにお話をうかがうと、お互いの家族のプライバシーは守りつつ、将来年をとったときにはお互いの健康管理や助け合いに不便をきたさないような家づくりをしたいとのご要望もありました。
そこで、道路からのアプローチ、2Fが入り口の玄関と玄関ホール、バルコニーを共有部分にした独立タイプの2棟の家をプランニングしました(平面図ブルーが姉世帯、ピンクが妹世帯、ベージュが共有部分)。普段はお互いプライバシーを守りながら生活し、週末にはバルコニーに両家族が集まって食事をするというライフスタイルが自然にできあがったそうです。玄関ホールが共有なので、いざというときには靴を脱いだり履いたりせずに行き来できます。


*風致地区とは、都会の自然環境の保護を目的とした建築制限。指定を受けた敷地での建築物は、高さ、建ぺい率、壁面後退など種々の制限を受けます。


バルコニーのある南東方向から見たところ。お互いの居間から直接共通バルコニーへ出ることができます。テーブルを置いて、週末には一緒に食事や会話を楽しんでいます。


姉世帯  妹世帯
アプローチ、2Fの玄関と玄関ホール、
バルコニーは共有
2階平面図。玄関、玄関ホール、バルコニーをはさんで右が姉世帯、左が妹世帯。どちらも2階を生活の場とした逆転プラン。妹世帯の1階は子ども部屋と寝室。姉世帯1階は物置と駐車場。


 
お母様(50代後半)と30代の息子夫婦、そのお子さんの5人家族の住まいです。都会の18坪の土地に一緒に住める家を希望されました。ミニコミ誌の編集や文章教室通いなど、まだ現役として活動されているお母様のために1階を独立した専用空間にしたいというご希望でした。
そこで1階にはお母様の和室と専用のキッチン。トイレ、洗面・脱衣所、浴室(共用)も設けてお母様の専用フロアに。4人家族の生活スペースは2階だけということで、家のなかの仕切りはできるだけ広く感じるように衝立風にする(図2)、ダイニングには3畳強の和室をつくり、引き込み戸にして開放して使えるようにする(図3)、ハシゴで上り下りするロフトをご主人の書斎兼収納スペースにするなど工夫しました。お孫さんの入浴はお母様の楽しいお役目。専用のキッチンでは自慢のおでんを2階におすそ分けするなど、マイペースで生活しながらの同居を楽しまれているようです。




2階のサニタリールーム。トイレと洗面台はつい立風の仕切りで視界をカット。壁をなくすことで明るく広々した空間になりました。


2階のダイニング。床続きの3畳の和室は引き込み戸で少しでも広い空間に。ロフトの仕切りはアルミのパンチングメタル。アルミの軽快感で室内が明るくなると同時に通気性もあります。


企業組合 花設計工房
1972年設立の東京パースを前身に、1988年、女性建築技術者の会を通して知り合った仲間たちにより、企業組合 花設計工房設立。以来、生活に視点を据えて、住宅設計を中心に大工さん、職人さんとのコミュニケーションを密にした現場監理を行っています。「家は買うものではない」でメンバーの意見一致。住み手に合わせて創るものであるはずだと考えています。
渡会有子(わたらい・ゆうこ)/1940年中国・青島生まれ。中央工業学校建築設計科を経て、花設計工房に参画。NPO高齢者の住まいづくり研究会(WAY21)代表。女性建築技術者の会会員。
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