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ホーム > 暮らしの役立ち情報 > 女流建築家の提案プラン > スッキリ空間で安全に暮らす
女流建築家の提案プラン 13
モノを減らしてスッキリ暮らすことは清潔につながり、人を招きやすくもします。
しかしそれ以上に大切なことは、スッキリ空間は「安全」だということです。予測される大地震の到来に備えてまた、高齢になった場合や身体が不自由になった場合に配慮して今回は、「安全」を第一に考えた家づくりを考えます。

1人のカメラマンが、世界30カ国の子供のいる中流家庭を訪れて、「あなたの家の前に、家の中のモノをすべて並べて、家族一緒に1枚だけ写真を撮らせてください」と言って集めた写真集が出ています。その中で、ダントツ1位ですさまじく“モノ”の数の多いのが日本のケースです。四季のある私たちの国。衣類1つとっても毛皮からTシャツまで、とモノの数が増える理由はあるのですが、それにしてもその数は極端に多いと言えるでしょう。何でも自分の元に置きたいという国民性と言えるのかも知れません。

一方で、モノを片付けてスッキリ、シンプルな空間で暮らしたいと願う日本人も多いようです。スッキリ空間は、人間関係を豊かにしてくれるはずです。趣味やサークルの仲間が集まってくる場所にもなるでしょう。が、今それ以上に大切なことがあります。それは、予測される大地震の到来に備えるということ。転倒した家具やモノの下敷きにならないために、モノによって逃げ道がふさがれてしまうことがないように、「安全」のためのスッキリ空間を見直しましょう。

(渡会有子)


 
カメラや絵手紙の趣味、サークル活動、ボランティアと活動派女性のひとり暮らし例です。「仲間が集まろうにもスペースがない。これでは、地震のとき家具やモノの下敷きになって危ない」という友人たちのすすめでリフォームを依頼されました。訪れてみると、どの部屋も壁際にびっしりと収納家具が置かれ、トビラが閉まらないほどモノがあふれていました。新聞や買い物袋も捨てないで積んでおくので、廊下はまっすぐに歩けないほどで、風通しもよくありませんでした(図1)。
リフォーム後(図2)は、洋室と和室の間仕切りをはずしてワンルームに。家具はすべて壁に留め、高い位置には軽いものだけを乗せています。廊下からはすべてのモノを撤去し、あわてたときでもつまずかないように。また、どの場所からも2方向以上の逃げ道を確保しました。もともとベッドルームだった部屋は納戸にし、通気のあるワイヤーバスケットによる可動棚を設置し、中身がひと目でわかるようになっています。
長い間、モノの陰になっていた亡き夫の油絵2枚を壁に飾り、いつも眺めながら暮らすことになりました。シンプルな空間では、本当に大切なモノが見えてくるようです。

リフォーム前の洋室。大小の収納家具にモノがあふれ、高い位置にもモノが置かれていました。右手のドアの向こうにも家具があるため、身体を横にしないと通り抜けられず、いざというときの逃げ道が確保されていませんでした。



洋室と和室の間仕切りを取り、ワンルームにして、趣味の仲間たちが集まる部屋にしました。収納家具は壁面にシッカリ留めて、地震による転倒のキケンを防止。照明器具も揺れの気にならないフラットなタイプにしました。







 
70代のご夫婦の家です。奥さまは7年前にリューマチを発症しましたが、室内では自由に歩行できるほどに快復されています。「身体の調子のよいときには、できるだけ身体を動かし、調子の悪いときには負担をかけずに生活できる家にしたい」というご要望でした。
そこで、外出がおっくうにならない玄関を提案しました。壁には手すりをつけ、玄関ドアなど開き戸のドアノブは握り玉ではなく、レバーハンドルにしました。ご夫妻にとってだけでなく、手伝いに訪れる息子さんやヘルパーさんたちにとっても荷物を抱えたまま肘で開けられるので、とても便利だそうです。
「寝室はどうしても2階にしたい」という強いご希望だったので、階段には昇降機を設置しました。「荷物を膝に乗せて階段を上り下りできるので便利」だと話されます。エントランスから玄関ホールまで、スッキリと安全なスペースとなりました。

ユニバーサル設計の玄関例。靴を脱ぎ履きするときのための椅子は息子さんの手製。玄関から道路までの数段の階段にも手すりをつけました。




企業組合 花設計工房
1972年設立の東京パースを前身に、1988年、女性建築技術者の会を通して知り合った仲間たちにより、企業組合 花設計工房設立。以来、生活に視点を据えて、住宅設計を中心に大工さん、職人さんとのコミュニケーションを密にした現場監理を行っています。「家は買うものではない」でメンバーの意見一致。住み手に合わせて創るものであるはずだと考えています。
渡会有子(わたらい・ゆうこ)/1940年中国・青海生まれ。中央工業学校建築設計科を経て、花設計工房に参画。NPO高齢社会をよくする会(WAY21)代表。女性建築技術者の会会員。
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