「通り部屋」の発想で
マンションをフルリフォーム

【通り部屋に住まう】愛知県名古屋市

家族構成:建て主+子ども

構造:RC工法

規模:地上6階建て 4階部分

延床面積:73.31㎡

設計:鳥居信貴

施工:阿部建設株式会社

  • リフォーム

ヴィンテージマンションを京町家の「通り庭」をヒントに大胆にリフォーム。南北に部屋を連結させ、引き戸で仕切る空間構成としました。

マンションの間取りを大胆に改修

結婚を機に引っ越しを考え、子育て環境を第一に選んだのが、人気の文教エリアです。環境も交通のアクセスもよいものの、人気ゆえに地価は高め。生活スタイルの変化や将来の戸建て購入も見据え、分譲マンションをフルリフォームする住まい方を選びました。

そして、目に留まったのが築35年のヴィンテージマンションです。南に大きな開口部がある3LDKは、家族3人で暮らすには十分な広さですが、北側の2つの個室は日が入りにくく、水まわりも狭い間取り。それを京町家の「通り庭」をヒントに大胆にアレンジしたのが「通り部屋」のあるプランです。

マンションでは廊下を軸に個室、その先にLDKが広がる間取りが主流ですが、「通り部屋」のプランにはその廊下がありません。南北に部屋を連結させ、引き戸で仕切る空間構成。引き戸を開ければ奥行あるオープンフロアに、戸を閉めればリビング、書斎スペース、主寝室に振り分けられます。

西側の壁一面には、奥行約65㎝の収納スペースを確保。扉はグリップレスの板張りでフラットな仕上がりにし、大容量ながらも見た目はすっきりしています。市販の家具は必要最小限に抑え、収納カウンターやオープン棚を造作したのも、統一感のある空間づくりのポイントです。

さらに特徴的なのが、床材を使い分けている点。南北にひと続きに伸びる「通り部屋」にはタモ材のフローリングを採用し、ダイニングキッチン、ベッドまわり、水まわりはタイル貼り仕上げです。床材の変化をつけることで、空間に程よくメリハリを与えました。「賃貸では既存の間取りに合わせて暮らすことになりますが、フルリフォームしたマンションは、暮らしに合った間取りで予想以上に快適です。特に畳コーナーは重宝しています」と奥様。ご主人は「子育てもテレワークも快適」と「通り部屋」のある暮らしを楽しそうに語ってくれました。

独立型キッチンをオープンキッチンに変更し、開放的な空間に。リビングダイニングのみ床タイルにして、ゆるやかに空間を仕切っています。

キッチンは「リシェルSI」(LIXIL)を採用。木目調の側板と壁面カウンターをプラスし、空間全体でデザインを統一しました。

ダイニングテーブルは長さ1,850mmで、床タイルとフローリングの切り替え線と同一線上に配置。TVは板張りの壁面収納の一部を凹ませてゆったりとビルトイン。

■寝室

2部屋をひと部屋にして広さを確保。通り部屋の一部となるフローリングが、空間にメリハリを与えています。

■通り部屋

南北にのびる「通り部屋」は全長12.7m。北側の部屋にまで光と風が届き、引き戸を閉めれば3つの空間に仕切ることができます。

■書斎スペース

壁面収納の一部が書斎スペースで、仕切ればテレワークができる個室に早変わり。

■洗面室

来客が使う洗面所と、洗濯機のある脱衣所はドアでしっかり間仕切り。生活感を出さない、見せない、細やかな設計です。

■浴室

黒一色の浴室は「スパージュ」(LIXIL)を採用。通常より大きい1620サイズにできたのもフルリフォームならでは。

■トイレ

モダンな色使いで雰囲気を一新。タンクレストイレは「サティスGタイプ」(LIXIL)。LDKや「通り部屋」とはテイストを変えた大胆な色使いが特徴的です。

写真:①以外 岡松愛子

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