築150年の古民家に
新しい風を送り
三世代の絆を結ぶ
リノベーション

【F様邸次世代につなぐ家】山梨県北杜市

家族構成:夫婦+子ども3人

構造:木造

規模:2階建て

リフォーム面積:1F 120.6㎡

設計:福嶋寛之建築設計事務所

施工:株式会社米山住研

プロデュース:株式会社いえプロ

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江戸後期に先祖が建てご両親が暮らしていた母屋を、ご長男一家が受け継ぐことに。古民家にしかない魅力を生かしつつ、好みのトレンドも取り入れリノベーション。性能的な弱点も補強され、安心で快適な住まいとしての新たなヒストリーが始まりました。

古さという価値を生かし、現代のトレンドと融合

江戸時代後期に建てられた古民家で育ったFさん。結婚して子どもが生まれると、先祖が代々守ってきた家を自分たちが受け継ぐときがきたと、真剣に考えるようになりました。長らくこの母屋で暮らしてきたご両親は離れに移り、30代のFさん一家が母屋に入ることに。これを機に、古い家につきものの耐震性への不安や冬の寒さなどを解消するため、自分たちらしさを加えてリノベーションすることになりました。

取っ掛かりとして、住まい手の秘書役となり設計事務所や工務店につないでくれる株式会社いえプロの「家づくりサポート」に相談。要望は、山梨の中でも寒いエリアにある家なので、断熱性を向上させて冬も快適に過ごせるようにすること、そして耐震性の強化でした。浴室とキッチンは、離れに住むご両親との共用が前提に。そこで、離れからの動線を意識して間取りの再構築も行いました。

東側の居間はすでにご両親の代でリフォームされており使用頻度も低いため今回は手を付けず、生活ゾーンである居間、食堂、キッチン、水まわりだけにリノベーションの範囲を限定しました。元は南側に和室が三部屋並ぶ間取りでしたが、北側にあったキッチンを南側に移動。その両脇を板張りの居間と食堂としています。不要な間仕切りをなくし、カラ松の無垢板を張って一連のおおらかな空間に。古い天井を取り払い、小屋裏から表れた古民家ならではの立派な梁を生かしました。キッチンのあった場所は、駐車場に行き来しやすい家族用の玄関に変えています。

耐震補強と断熱材充填・インナーサッシ設置による断熱化を行い、安心と快適をプラス。以前タイル張りで凍えるように寒かった浴室にはユニットバスを導入したので、今後ご両親が歳を重ねていっても安心です。キッチンや家族用玄関のデザインには若い世代の感覚が盛り込まれ、今という時代性とFさんご夫妻らしいオリジナリティが見えます。建物の持つ歴史的な側面も尊重し、古い部材となじみのいい漆喰と無垢の木を多用することで、ここにしかない魅力が生まれました。今では貴重な桐材の板戸や細工の見事な欄間は、食堂の間仕切りとして再生。大切にしてきた家が新たな息吹で蘇り、古い部分もしっかりと生かされたことを、ご両親も喜んでくださったそう。家の歴史というバトンは、これからも手から手へと渡されていくことでしょう。

南側の廊下も部屋に組み入れ、明るさと広がりを得た食堂。古い天井を剥がして黒々した梁を露出させました。

子どもたちが遊べるロフトを設けた居間。右奥がキッチンで、左の引き戸の奥が寝室。漆喰の白壁に梁が引き立ちます。

古い桐の板戸と細工の美しい欄間を、ダイニングの間仕切りに転用。新旧が融合するオンリーワンの空間です。

■フリースペース

キッチン前のフリースペースは、居間から食堂への動線。日当たりの良さを室内干しに活用するため、窓際にアイアンバーを付けました。

■家族用玄関

駐車場に行き来しやすいよう、北側に新設した家族用玄関。モルタルの土間やOSB合板の壁、オープン棚など、ご主人の現代的な好みをかたちにしました。

■洗面脱衣室

新しくつくりかえた洗面脱衣室。病院用流しやタイルをつかった奥さまこだわりのデザイン。ユニットバスは保温性もよく冬も快適・安全。

■トイレ

ネイビーのクロスでシックに演出したトイレは、寝室や浴室にも近い位置に新たに増築。便器はサティスを採用。

■寝室

既存の和室は壁を増やして安全な寝室に。以前ご両親の寝室として使われていた右奥の耐震シェルターを、ウォークスルーのクローゼットにしました。

設計:福嶋寛之建築設計事務所 プロデュース:株式会社いえプロ

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